成功事例で見る事業用不動産の土地活用

土地活用その他建物

【特集】住宅とは違う事業用不動産による上手な土地活用⑤

事業用土地活用の主な手法別事例

事例① サブリース

築古アパートをクリニックビルに建て替え

 築30年のアパートを所有していたAオーナー。住宅街の中という環境に加え、近隣エリアには続々と新しい賃貸住宅が建設されていた。そのため、建て替えたりリノベーションをしたりしても、今後はアパートで安定した収益を継続して得るのは難しいのではないかと思っていた。
 またAオーナーはテナント物件を建築することも考えたが、誘致に不安を感じていた。そんなAオーナーから相談を受けた大和ハウスリアルティマネジメント(東京都千代田区)が周辺状況を調査したところ、人口が多い地域のため商圏としては有望であると判断。同社は、Aオーナーに事業用施設での土地活用を提案した。

 その結果、同社が一棟丸ごと借り上げるサブリース契約を前提にテナント誘致を行い、出店申し込みがそろったところで、Aオーナーは事業用施設を建築することになった。
 その後同社のテナントリーシングにより、内科クリニックと介護施設、調剤薬局が入居する3階建てのビルが完成した。複数のテナントが入る場合、契約や管理が煩雑になるが、Aオーナーは事業用施設の開発に手間がかからずに毎月収益を得ている。また住宅街の中で医療施設が少なかったため、周辺住民に喜ばれる土地活用を行うことができた。

 

事例② 事業用定期借地権

自己所有から方針を転換し借地契約

 すでに数棟のアパートを所有するBオーナーは、遊休地となっている郊外の土地の活用に悩んでいた。当該土地は、アパート需要が見込めないエリアのロードサイドに位置しており、広さは1000坪程度あった。
 相談を受けた大和ハウスリアルティマネジメントは、事業用定期借地権を活用したスキームを提案した。土地を貸すだけで、大きな初期投資は不要、契約満了後は更地にして返還される契約だ。
 同社はBオーナーから土地を借り上げ、幹線道路沿いの好立地条件と周辺の商業施設の少なさから、ドラッグストアをリーシングし店舗を建設した。

 Bオーナーは建築費という大規模な投資やテナントとのやりとりを一切することなく、毎月定期的に地代を得ることができた。さらに、周辺に生活用品を買える商業施設が少なかったことから地域住民の利便性が上がり、この事業用不動産による土地活用が社会貢献にもつながった。
 ちなみに広い土地を有しているオーナーの中には、駐車場経営を考える人も多い。しかし、周辺に大きな商業施設や工場など、ある程度集客できる建物がなければ駐車場の利用者は見込めないため、駐車場運営に適していないケースも多々ある。

 

事例③ 管理委託
建築前募集で店舗ビルに美容室誘致

 商店街のメインの通りから1本横道に入った立地に土地を所有していたCオーナー。面積は100㎡と小規模ながら、更地のままでは相続税額が高くなる課題を抱えていた。
 当該地は5階建てまで建築することが可能な土地で、Cオーナーは、ほかの不動産会社からも5階建てのプランを提案されていた。
 このため半ばそれが最適だろうと思いつつも、ほかのプランの可能性も含めて市萬に相談することにした。
 それを受けて同社は、あらゆる活用方法を排除せずに次の7パターンを想定した。
 ①5階建て賃貸マンション(1階店舗・2階以上は住居)②3階建て賃貸マンション③2階建て木造アパート④戸建て賃貸⑤2階建て一棟貸し店舗⑥貸し駐車場⑦現状のまま。これらの案について、将来の需給予測と税引き後の事業収支をそれぞれ算出していった。
 その結果を比較表にしてCオーナーに提示。計算上最も収益が良いのは⑤の2階建て一棟貸し店舗であることを改めて提案した。
 それに加えて、同社のほかの案件で多数の成功例がある建築前のテナント募集も勧めた。また将来の活用も考慮していろいろな用途のテナントが利用できる仕様のプランにした。
 結果的に、建築前に美容室の誘致に成功し、賃貸借契約を締結。
 利回りは7パターンの中で最も延べ床面積が大きかった5階建て賃貸マンションで想定した9%を上回る16%を実現。約450万円の相続税額の軽減にもつながった。

(2025年7月号掲載)
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