エリア別で考える土地活用、関西エリアの新築状況は?

土地活用賃貸住宅

 賃貸市場を取り巻く環境は、時代の流れとともに変化を続けています。経営安定化のためには、その地域に必要とされる賃貸の特性を見極めることが大切です。貸家(賃貸住宅)の新築着工数や構造別・物件用途別に戸数をまとめた国土交通省の2024年「建築着工統計調査報告・住宅着工統計」を基に、関西エリアの賃貸市場を見てみます。地域性や入居者ニーズを把握し、効果的な戦略を立てましょう。

関西エリアでの新築賃貸住宅による土地活用、大阪府が最多

 国土交通省では建築基準法に基づき、全国の建築物の着工状況を明らかにするため建築主から都道府県知事に提出される建築工事届を集計し「建築動態統計調査」として毎月公表しています。その中で、特に新たに建築された住宅に関する調査結果をまとめたものが「住宅着工統計調査」です。

 同調査結果によると、関西エリアで24年に新規で着工した賃貸住宅は6万1835戸。全国の新築賃貸住宅の着工数34万2092戸のうち18.1%を占めています。最も着工数が多かったのは大阪府の3万7322戸で関西エリアにおける構成割合は60.4%。次いで兵庫県が1万237戸で16.6%、京都府7684戸で12.4%となりました。

大阪府では新築賃貸住宅での土地活用は共同住宅が主流

 大阪府の新規賃貸住宅は、3万7322戸と関西エリアで最も着工数が多く、前年比では5.7%の増加でした。新規着工総戸数は6万9213戸で、総戸数から見た賃貸住宅の占める割合が53.9%と過半数に達しているのは大阪府のみです。大阪府においては賃貸の需要が他府県より高い傾向にあるといえます。

 構造別の内訳を見ると、鉄筋コンクリート造が1万9811戸で全体の53.1%と半数を超え、次いで木造1万902戸、鉄骨造が6293戸でした。建て方別では、共同住宅が96.7%とほとんどを占めています。

兵庫県の新築賃貸住宅での土地活用は木造が4割を占める

 24年の新築賃貸住宅が1万237戸と関西エリアで2番目に着工数の多い兵庫県。前年比では12.6%減と、同エリア内で最も減少幅が大きくなりました。新築着工総戸数も前年と比較して9.9%減となっており、県内全体で新築が減少したことが伺えます。

 賃貸住宅を構造別に見ると、木造が構成比42.1%で最多。以下、鉄筋コンクリート造30.9%、鉄骨造25.5%と続きます。建て方別では、共同住宅が全体の4分の3を占める7826 戸で76.4%、長屋建てで21.8%となりました。

京都府では新築賃貸住宅での土地活用が着工数約25%増と大幅増加

 京都府の24年の新規賃貸住宅は7684戸、前年比では24.8%増と関西エリアで最も高い伸び率でした。着工総戸数を見ても前年比18.3%増加しており、総戸数・賃貸住宅戸数ともに増加したのは京都府だけでした。

 構造別では、鉄筋コンクリート造が3167戸と最も数が多く、次いで鉄骨造2158戸、木造2117戸。建て方別に見ると共同住宅が90.8%で9割を占めています。

滋賀県の新築賃貸住宅による土地活用は、着工数11%増と堅調な伸び

 滋賀県では、24年に新たに着工した新規賃貸住宅が3488戸で、大阪府、兵庫県、京都府に次いで4番目に多い数となりました。前年と比べると11.2%増加しており、京都府(同24.8%増)の次に大きい伸び率でした。

 構造別では木造が1496戸、鉄骨造が1400戸とそれぞれ4割を占めたほか、鉄筋コンクリート造が592戸で17.0%となりました。建て方別の内訳では、共同住宅が構成比70.4%、長屋建てが28.6%でした。

奈良県の新築賃貸住宅での土地活用は木造と鉄骨造で9割超

 24年の新規賃貸住宅着工数が1697戸の奈良県は、前年と比較すると0.8%減とわずかに減少を見せました。

 構造別内訳では木造が974戸で構成比57.4%と半数を超えたほか、鉄骨造が665戸で39.2%となり、この二つで9割超を占めています。鉄筋コンクリート造は58戸で3.4%でした。

 建て方別では、共同住宅が最も多く63.1%を占めました。長屋建ては35.5%、一戸建てが1.4%にとどまっています。

和歌山県では新築賃貸住宅での土地活用において長屋建てのシェア率が高い傾向

 和歌山県では、24年の新規着工総戸数が3800戸で前年との比較では4.0%減少したものの、賃貸住宅は1407戸で前年比7.5%増と増加を見せました。

 構造別では木造が920戸で最も多く、次いで鉄筋コンクリート造289戸、鉄骨造198戸となっています。

 建て方別で最も多かったのは共同住宅の657戸。長屋建てはそれより3戸少ない654戸と、県内における両者の構成比率は46.7%と46.5%とほぼ同じでした。なお、関西エリアにおいて長屋建てが4割を超えたのは和歌山県のみとなっています。

関西エリアの新築賃貸住宅の傾向を見極めて効果的な経営を進めましょう

 関西エリアで賃貸住宅の新築着工戸数が多かったのは大阪府でした。

 前年比で見ると京都府が24.8%増と最も伸び率が高く、同府は総着工戸数においても18.3%増と、新規住宅が堅調に増加していることが読み取れます。一方で、大阪府に次いで賃貸住宅着工戸数の多い兵庫県では、前年と比べると12.6%減で、エリア内で唯一2ケタ台の減少でした。競争率の高い過密地域では、的確で効果的な土地活用を考える必要があるでしょう。

 構造の傾向を見ると、大阪府、兵庫県、京都府では鉄筋コンクリート造がほかの3県と比較して3~5割超の割合を占め、大阪府に限っては半数を超えています。木造の割合が最も高かったのは兵庫県、滋賀県、奈良県、和歌山県でしたが、同4県では鉄骨造も木造に近い戸数を見せています。滋賀県、奈良県、和歌山県では鉄骨鉄筋が0件でした。

 用途別では、すべての府県で共同住宅として活用する割合が最も高くなりました。和歌山県のみ共同住宅が5割未満にとどまり、長屋建てとほぼ同じ比率を示しました。

 大阪府を中心に人口が集中し、神戸市や京都市といった都市部へのアクセスが便利な地域を広く含む関西エリア。活用できる限られた土地において、賃貸需要をいかに的確にくみ取ることができるかがカギとなるでしょう。地形や地域性、居住者層などをしっかりと把握し、効果的な賃貸経営を進めることが大切です。
(2026年2月17日更新)

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