初めての新築物件の購入 相続を念頭に資産性を考える
「今までの不動産投資では中古物件を手がけていましたが、2023年に初めて新築物件を購入しました」と話すのは、「千葉大家倶楽部」の代表を務める北嶋勇次オーナー(千葉県印西市)だ。
北嶋勇次オーナー(65)(千葉県印西市)
購入したのは、西武鉄道多摩湖線一橋学園駅から徒歩1分の場所にある15戸の木造3階建てだ。「物件情報を見た当初は、駅から徒歩1分という立地に目を奪われました」(北嶋オーナー)
駅からの立地はもちろんだが、近くには商店街があり利便性が高い。周辺には大学のキャンパスが点在しているため、学生のニーズを狙うことができる。仮に、今後学生向け賃貸が下火になっても、JR中央線新宿駅まで30分余りで行ける駅であるため、社会人のニーズも獲得できると考えた。
利回りは6・86%と、近年の新築物件と比べても遜色はない。1億7800万円で購入に踏み切った。
▲JR中央線国分寺駅の隣でアクセスもいい
立地と利便性を重視に変更
これまで、千葉県印西市のテナント1棟や区分マンション、そして東京都葛飾区の全19戸のマンションを中古で購入してきたのは、何より利回りの高さからだった。「かつては、中古で利回りの高い物件を購入することもできましたが、今はそれも難しくなっています。無理に中古で探すよりも、立地重視で資産性の高い新築物件にシフトしていくことが得策だと思いました」と北嶋オーナーは話す。
そして、何より「相続」の2文字が頭に浮かぶようになってきた。賃貸経営も14年目に入り、年齢も65歳。周囲には、相続で苦労した家主もいる。「今後、入居付けが難しくなる中古の物件を引き継いでも、次の代は活用することができません。また、そうした『負動産』では売却するのも難しいでしょう」(北嶋オーナー)
そこで、立地・利便性、そして今後も賃貸需要が見込めるエリアで、この先しばらくは修繕の手間がかからない新築物件の購入を決めたのだ。「今回購入した新築物件は、角地に立っています。仮に売却することになってもスムーズに売れると考えました」と北嶋オーナーは話す。今後はタイミングを見て、さらに2棟ほど同じように資産性の高い物件を購入していきたいと考える。
息子と共に築古戸建て再生
一方で、息子への事業承継も少しずつ始めている。長男の北嶋康晴氏(同)が不動産経営に興味を持ち、勉強をスタート。23年には、自ら千葉県市原市にある築古戸建てを見つけてきた。利回りは14・4%。「長男はまず、キャッシュフローの良い郊外の築古から開始しました」(北嶋オーナー)。築43年でかなり傷んでいた物件だったが、千葉大家倶楽部の会員向けにワークショップを開きつつ、プロのリフォームでよみがえらせた。
父は資産性を念頭に、次世代が困らない物件を増やし、息子はまずは手残りを増やせる物件で学ぶ。「共に開墾しながら、子孫に田んぼを残す」というイメージでこれからの賃貸経営を行っていきたいと考える北嶋オーナーだ。
(2024年8月号掲載)
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