経済産業省は、国が掲げる2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、省エネルギー化の支援を強化。既築の賃貸住宅において、省エネ性能が高い給湯器の導入支援を始める。給湯器からの二酸化炭素(CO²)排出量は、家庭部門で最も大きな割合を占めるからだ。
経済産業省は24年3月、「既存賃貸集合住宅の省エネ化支援事業」の交付申請を開始する。既築の賃貸住宅において、省エネ性能が高い給湯器への取り換えにかかる費用を補助する。
これまで、家庭用の省エネ給湯器の取り換えに関する補助事業が先行して推進されてきたが、本事業は賃貸住宅に限定したもの。小型の給湯器が対象で、小規模な賃貸集合住宅でも利用しやすくなっている。
補助対象となるのは、従来型の給湯器から潜熱回収型ガス給湯器「エコジョーズ」、または同石油給湯器「エコフィール」への取り換え工事だ。エコジョーズとエコフィールでは、従来型の給湯器では捨てられていた排気熱を再利用することができ、ガスの利用料金で見ると、年間1割超の削減が見込める。
取り換えにかかる費用は、機器本体と工事費を合わせて20万~35万円程度が想定される。これに対し、補助額は追いだき機能なしで1台5万円、同機能ありでは1台7万円だ。
補助されるには、既存の賃貸集合住宅であることが条件で、23年11月2日以降に着手した取り換え工事が対象。1棟あたりの取り換え台数が2台以上の場合に申請できる。ただし、1棟10戸未満の物件は、取り換え台数が1台でも申請可能だ。
補助金の交付対象は賃貸住宅のオーナーを想定するが、同申請手続きは工事請負契約の元請け事業者(以下、補助事業者)が行い、補助金の交付を受ける。交付された補助金は、工事請負契約の発注者(以下、共同申請者)に全額付与または工事費から割り引く形で還元される。
補助事業者と共同申請者の組み合わせは、給湯器の販売会社または工事会社とオーナーだけでなく、工事会社に工事を委託する管理会社とオーナー(図1)、販売会社または工事会社と管理会社(図2)などでも可能。いずれも工事請負契約を交わしていることが必要だ。リースの場合には、リース会社が補助事業者となる。
補助金申請時に必要な書類や、補助対象機器の型番リストなどは、経産省の事務局ホームページで公表されている。
(2024年3月号掲載)
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