100回を迎えた異業種交流イベント
参加者を楽しませ、自分も楽しむ
川崎市の中部エリアで開かれる多くの家主が集う交流イベント「コシガタリ」。2015年にスタートし、24年8月、ついに100回を迎えた。今まで登場したスピーカーは、バイオリニストからダンサー、塗装事業の人、発達障害の子どもを育てる母親まで多彩。不動産経営とは縁遠い人物が多いのが特徴だ。同イベントを主宰する越水隆裕オーナー(川崎市)に話を聞いた。
越水隆裕オーナー(47)(川崎市)
――コシガタリを始めたきっかけは何だったのですか。
父から不動産の運営を任された後、自分自身が講演をする機会が増えました。そのことを友人に「よく人前で話せるね」と感心されて。でも、それは決してすごいことではありません。機会があれば誰でも話せるのだということを示したいと思い、企画したのがコシガタリです。なぜその仕事をしているのか、各人さまざまな背景があるので、それを聞くだけでも有意義です。
――コシガタリについて教えてください。
コシガタリはエンターテインメントがテーマです。スピーカーの話を聞くために集い、楽しむ。その場で仲間を増やしてもらうのが大きな目的の一つです。大体月に1回のペースで開催しています。参加者は家主が多いですね。家主にとってお客さんである入居者は、ほとんどが異業種の人です。私は入居者とのコミュニケーションを大切に賃貸経営をしているので、家主として異業種の人と関わる機会を増やすのは顧客を理解するために必要なことだと考えています。現在は、不動産関係のほかに、賃貸経営に少しでも関わりのある話を盛り込んでもらうようにしつつ、異業種の人に話してもらうように努めています。
――まちづくりを意識して運営していますか。
私は、川崎市の中部エリアをマーケットにまちづくりを意識して活動しています。このエリアを知ってもらいたい、人に来てもらいたい。その人たちが、エリアにお金を落とすようになってほしい。コシガタリもまちづくりの一環です。対面での開催にこだわり、懇親会の会場も、私がオーナーを知っている地元の個人店を選ぶようにしています。実際に足を運んでもらってわかる魅力もあると思うからです。
――今は、コシガタリの営業担当を自認しているそうですね。
新型コロナウイルス下の20年も、定期的に開催しました。そのときに「コシガタリは勉強する機会として必要だ」と参加者から感想をもらって。自分自身もコシガタリが絶対に良いものであると腑ふに落ちたのです。その後、さらに開催回数を重ねてコシガタリが定着し、ある種ブランド化できたことで、自分がつくったものを宣伝している気恥ずかしさがなくなりました。自分から離れたからこそ、臆せず魅力をアピールできるようになったのです。今後は、小規模なものも含めて5年以内に200回目の開催を目指していきたいと考えています。
(五林麻美)
1977年、川崎市生まれ。同市で賃貸経営と街づくりに取り組む。タクト代表取締役、キャム代表取締役、のくちのたね取締役、賃貸UP-DATE(アップデート)実行委員会代表、一般財団法人日本不動産コミュニティー実施の不動産実務検定1級。2022年「家主と地主プレゼンツ SDGs AWARDS(アワーズ)」防災部門を受賞。
(2024年11月公開)
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