【連載】家主の賢いキャッシュフロー改善:2月号

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税金を抑える ~経費の勘違い!
節税商品の実態①~

 キャッシュフローを改善するためには、①収入を上げる②支出を下げる③税金を抑える、この三つしかありません。前回に続き、③の税金を抑える方法を解説します。
 前回は、税金の無意味な繰り延べと、有効な繰り延べについて解説しました。
 今回からは、税金の繰り延べとなる節税商品について説明します。

節税目的の商品とは

 節税商品とは、税金を合法的に減らすことを目的として設計された金融商品や投資商品のことです。節税商品は現在の税金を将来に繰り延べる効果のものがほとんどで、代表的なものとして、オペレーティングリースがあります。航空機や船舶などを購入し、航空会社とリース契約を結ぶという仕組みです。リース期間中は減価償却費を計上できるため、税金を減らせます。そして、リース期間終了後に売却すると、大きな収入が計上されることになります。

 これは主に、法人で利用されるものです。なぜなら、個人でのオペレーティングリースの分配金は「雑所得」として扱われるからです。雑所得の赤字はほかの所得区分(給与所得や事業所得など)との損益通算ができないため、節税効果が得られません。そのため、今回は、法人を対象に節税商品の話を進めていきます。最近は、この節税商品が手を変え品を変えて増殖しています。その中にはかなり怪しい商品もあるため、注意喚起を含めて伝えます。

節税商品が増えた背景

 節税商品の代表格であるオペレーティングリースは、大きく利益を出している会社が対象です。というのも、一口3000万~5000万円という商品が一般的だからです。

 一方で小規模の会社では、以前は、保険商品を使った節税をすることが多くありました。支出した保険料を100%経費とすることができたためです。しかし、2019年7月8日以後に契約する保険のうち、解約返戻率が最高50%超となる保険については、保険料の大部分を資産計上しなければならず、経費にできなくなりました。

 そこで、これでは保険が売れなくなると考えた一部の保険会社は、規制の適用を逃れる「節税保険」をつくり、売り続けていました。そのことが金融庁の不興を買い、22年、国税庁とタッグを組んで、節税保険を取り締まるという表明が出されました。これにより、節税保険はほぼ終焉しゅうえんを迎えたのです。

 この節税保険に代わるものとして、節税商品が出てきました。1台10万円未満のドローン(小型無人機)や建築現場の足場材料を大量に購入し、購入代金を全額経費にして節税を図ります。それをレンタルすることによって、購入代金を少しずつ回収するというスキームです。これらの商品は少額から購入できることが特徴です。

 しかし、これも国税庁は見逃していません。このような節税商品を税制改正で規制していっています。現状は、税制改正で規制されたらまた新しい節税商品ができるという、繰り返しになっているのです。

解説
Knees bee(ニーズビー)税理士法人(東京都千代田区)
代表 渡邊浩滋税理士・司法書士

危機的状況であった実家の賃貸経営を引き継ぎ、立て直した経験から2011年開業。18年大家さん専門税理士ネットワークを設立し、全国の家主を救うべく活動中。22年法人化。「賃貸住宅フェア」などでの講演も多数。

(2025年2月号掲載)

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