【特集】オーナー・事業者に聞く 利益を生み出し続ける⺠泊経営のこつ④

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勝てる民泊 オーナー事例

モデルハウスを民泊として運用 民泊新法に基づき安定した収益を得る

ユナイテッドワークス(大阪市)
赤松 隆裕代表取締役(56)

一目ぼれした物件を モデルハウスとして活用

 建築・設計・施工を行なっているユナイテッドワークス(大阪市)の赤松隆裕代表取締役は、大阪府池田市で「UNITED HILLS GARDEN(ユナイテッドヒルズガーデン)」を運営している。年間180日のみ貸し出す民泊新法で届け出を行った。

 1カ月あたり15日程度の予約が埋まっている。宿泊単価は、需要と供給を見ながらAI(人工知能)を活用したシステムが決める。季節ごとに異なるが、1人あたり1万5000円程度の単価になるという。

 UNITED HILLS GARDENは民泊用の物件ではなく、自身の別荘兼、自社のモデルハウス用に購入した物件だった。コロナ下で、畑を耕しながらのんびり過ごせる別荘を探していたところ、建物の窓から見える景色に一目ぼれし、21年に購入。細部までこだわってリノベし、別荘兼モデルハウスとして23年に開業した。

 「ダイニングから景色が見えるように、9・3㎡を増築して延床面積を約90㎡にしました。植栽とウッドデッキを追加し、バケーション気分を存分に楽しめるような造りにこだわりました」と赤松代表取締役は話す。

 また趣味のサウナを満喫するために、リビングから続く浴室脇にサウナを設置。浴室はガラス張りにして、景色と風呂を同時に楽しめるようにした。

▲天井を高くリノベし、開放感を味わえるようにした

 民泊の開業を決意したのは、モデルハウスとして利用していない期間がもったいないと感じたからだという。自身も利用するため、営業日数の少ない民泊新法を活用した。

 とはいえ、赤松代表取締役は民泊の運営経験がなく、友人が経営している宿泊施設のデザインや運営代行をするGlobal Com’s Japan(グローバル・コムズジャパン:大阪市)に相談。アドバイスをもらいながら民泊の開業準備を進め、宿泊者の予約・連絡対応などは同社に任せて運営を始めた。

お客様の声を改善に生かし 利益を上げる

 民泊運営を事業者に委託するメリットは、経験に基づいて運用してもらえることと、アドバイスを受けられることだという。郊外の立地に合わせたプラン設定や、インバウンドに寄り添った運用をしてもらっている。

 「プロに運営を任せた結果、物件に多言語による案内板を設置してもらえました。私たちでは気が付かないところのサポートを受けられて助かっています」(赤松代表取締役)

▲ウッドデッキからは赤松代表取締役お気に入りの景色が楽しめる

 一方で、清掃や「おもてなし」などの一部の運営はユナイテッドワークスで行っている。入室時間に合わせてウエルカムドリンクの提供や空調の設定、照明の点灯などを行う。宿泊者に対してきめ細やかな気配りをするために、あえて自分たちで行っているのだという。

 「清潔さが何より一番のため特に清掃にはこだわりました。人に任せると時給と効率が優先されてしまいます。妥協なく高いレベルで環境を整えるために、当社で清掃しています」と赤松代表取締役は話す。徹底した掃除のおかげで、スリッパを履かずに素足で過ごす宿泊者も多いという。

 また宿泊者から要望があった際には、その都度自身の手で改善している。「民泊を始めた頃は物件にアプリの対象外地域であり、タクシーの配車ができないことを知りませんでした。現在は、事前連絡があればチェックアウト時にこちらで配車する旨のアナウンスを予約時にするよう、管理会社に依頼しています」(赤松代表取締役)。そのほか、サーキュレーターやおむつの臭いがしないごみ箱なども設置した。
 民泊の収益だけでなく、同じような住宅を建てたいという工事の依頼も増えており、赤松代表取締役にとって実りのある民泊事業となっている。

▲リノベ前はプレハブ状態だった

(2025年 4月号掲載)
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