福岡|税制優遇制度における不動産経営の問題点
吉原勝己オーナー

国の税制優遇制度は、脱炭素社会実現への企業支援として重要な役割を果たしています。そこに、経済産業省の誤った説明が原因で、得られたはずの減税措置を受けられなかったイオン九州(福岡市)が、国に多額の損害賠償を求める訴訟を福岡地裁に起こしました。この事例から、制度の複雑さやそれに起因する運用上の説明不足により弊害が生じることが見えてきました。
この問題は不動産経営者にとっても人ごとではありません。特に、持続可能な経営を目指す私たちは、行政の支援制度を受ける際に同様のリスクを抱える可能性があります。
制度運用上の認識の相違により、予定していた収入がなかったり、計画していた額以上の税が徴収されたりすると、賃貸経営の戦略上大きな狂いが生じます。その結果、赤字経営といったマイナス評価を受ける危惧があり、賃貸経営者を新たな行政施策から遠ざける可能性があります。
また建物を大切に活用し続ける立場から考えると、建築基準法や消防法なども含めあらゆる制度が複雑化し、現場の混乱を招いている点も問題視すべきです。県内での今回の提訴を注視し、事業者が安心して制度を利用できるよう、より簡素でわかりやすい仕組みづくりを求めたいと思います。
(2025年 4月号掲載)
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