冷暖房費75％オフの高性能賃貸で長期入居者獲得

注目の新築プロジェクト

冷暖房費75％オフを実現する高性能賃貸
快適性と経済性の良さが⻑期入居者を獲得

弐番町戸建ＰＪ（埼玉県東松山市）

夢・建築工房（埼玉県東松山市）
岸野浩太社長（49）

　断熱性、気密性、耐震性、耐久性に優れた２棟の高性能戸建て賃貸「弐番町戸建ＰＪ」が2024年12月と、25年１月に相次いで竣工した。手がけたのは、高性能住宅を30年以上造り続けてきた夢・建築工房（埼玉県東松山市）だ。
　同物件は、多目的スペースがある３ＬＤＫＳという間取りの木造２階建て。周辺に大学や短期大学が点在する東武鉄道東上線高坂駅から徒歩３分の好立地に、２戸が並んで立っている。

▲経年変化さえも魅力に変わる外観

　「入居者の快適な暮らしを実現するため、熱交換型換気システムを導入しました」と同社の岸野浩太社長は話す。熱交換型換気システムとは、室内から排出する空気の熱を利用して給気する外気を室温に近づける換気設備のこと。これにより各階に１台のエアコンでも、常に適温を保つことができる。

　実は、賃貸住宅への熱交換型換気システムの導入は難しい。月１回のフィルター掃除が必要だからだ。入居者には頼めないため、外から管理会社がフィルターを掃除できるように板で囲って設置する工夫をした。
　また遮音性、気密性を高めるためにキッチンで採用したのが電動シャッタータイプのレンジフード。使用していないときは自動でふたが閉まり、外の音や外気が入るのを防ぐ。さらに道路側にエアコンダクトを開けない、外側のベニヤ板の目地にテープを貼るなど細かな部分にまで気を使っている。

　こうした高性能化により、冷暖房費は一般的な断熱等級4の戸建ての４分の１程度で済むという。月額で暖房は3000円、冷房は6000円ほどに抑えられるため、快適性と経済性の高さから長期入居につながりやすい。
　間取りにもこだわりがある。換気効率を高めるため家の中央に階段を配置したのだが、効果はそれだけではない。「オーナーの意向で、階段を上がった所にある空間を入居者が自由に使える多目的スペースとしました。その入り口上部を欄間にして、中階段の採光性を高めています」（岸野社長）

▲２階の多目的スペース入り口の欄間から中階段に光が届く

　そもそもオーナーが高性能賃貸を目指した理由は、省エネルギーに関する賞を受賞できるような賃貸住宅であれば差別化できると考えたからだ。実際、弐番町戸建ＰＪの賃料は周辺の賃貸物件より高い17万3000円だが、１戸は募集開始から１週間で入居が決まるほどの反応の良さだった。
　高性能化はコストがかかると考えるオーナーは多いだろう。「やり方次第で資材費や施工費を抑えられるのが工務店のいいところです。オーナーは空室リスクが減り、メンテナンス費を抑えられます。入居者は快適に暮らせますし、当社は高性能住宅を経験した入居者から戸建ての建築依頼を受けることもあり、まさに三方よしです」と岸野社長は笑顔で話す。同じオーナーからの依頼で、26年には木造３階建ての高性能賃貸住宅が竣工予定となっている。

【物件概要】
物件名：弐番町戸建PJ
所在地：埼玉県東松山市
構造：木造・２階建て
住戸数：２戸
竣工年：2024年12月、2025年１月
部屋タイプ：多目的スペース付き３LDK（延べ床面積104.34㎡）
家賃：17万3000円（税込み）

【弍号棟の間取り図】

（2025年７月号掲載）