<<My賃貸経営スタイル>>
区分マンション投資からの転換
手残りを重視し一棟物件投資へ
現在40歳の西本豪オーナーは、関西エリアを中心に計14戸の賃貸物件を保有している。内訳は木造アパート2棟と区分マンション2戸。エリアは大阪府と奈良県に分散しており、年間家賃収入はおよそ900万円だ。2020年には、賃貸経営用の合同会社を設立し運営している。
不動産投資を始めたのは社会人5年目の頃。当時は株式投資や仮想通貨など、いわゆる資産運用を一通り試しており、不動産もその延長線上にあったという。
「最初から賃貸事業で生きていこう、という意識は正直そこまで強くなかったです。あくまで投資の一つという感覚でした」(西本オーナー)
西本豪オーナー(兵庫県尼崎市)

現在40歳の西本豪オーナーは、関西エリアを中心に計14戸の賃貸物件を保有している。内訳は木造アパート2棟と区分マンション2戸。エリアは大阪府と奈良県に分散しており、年間家賃収入はおよそ900万円だ。2020年には、賃貸経営用の合同会社を設立し運営している。
不動産投資を始めたのは社会人5年目の頃。当時は株式投資や仮想通貨など、いわゆる資産運用を一通り試しており、不動産もその延長線上にあったという。
「最初から賃貸事業で生きていこう、という意識は正直そこまで強くなかったです。あくまで投資の一つという感覚でした」(西本オーナー)
最初に購入したのは大阪市内の区分マンションだった。13年から15年にかけて、計3戸を取得。価格は1戸あたり1100万〜1200万円ほどで、いずれも融資を利用した。当時、区分マンションにおいてはフルローンで購入する人が比較的多かったというが、西本オーナーは安全性を意識し、頭金として1〜2割程度は自己資金を投入していた。区分3戸購入という一見堅実な投資だが、西本オーナーは大きな「失敗」があったと当時を振り返る。

投資初期に取得した大阪市の区分マンション
それは、フルローン近くまで借りられたにもかかわらず、必要以上に購入時の自己資金を多く投入していたこと。また繰り上げ返済を積極的に行っていたことだ。後者に至っては、当初25〜30年の返済期間だったところを、自ら銀行に相談し10年程度まで短縮させてしまった。さらに手元資金ができるたびに繰り上げ返済を繰り返したという。
「返済総額を減らすことが正しいと思い込んでいたのです。でも今考えると、大事なキャッシュフローを自分で殺しにいっていたようなものですね」(西本オーナー)
結果として、手元に現金が残らず、次の投資に回せる資金が枯渇していった。その結果として区分3戸を購入した後、次の物件の取得までに約5年もの空白期間が生じてしまった。
賃貸経営を積極的に学ぶ
この間、思ったように進まない不動産投資について、状況を打開しようと勉強を本格的に始めた西本オーナー。家主の会などで知り合った投資家仲間や書籍、「ユーチューブ」などを通じて学び直し、区分マンションと違い、次は「繰り上げ返済はせず、たまった資金を次の投資に使っていく」と決めて再度物件購入に臨んだ。

2020年に取得した奈良市にあるアパート
そして20年に合同会社を設立し、奈良市内にある築5年の4戸の木造アパート1棟を約2000万円で購入した。築浅のため、内外装の大きな工事も不要だった。自己資金は600万円前後が必要となった点は妥協したものの、残りは融資で賄った。返済後の手残りとして、この物件は毎月約6万円を生み出した。
返済能力と出口戦略
24年には、堺市で2棟目となる8戸のアパートを取得した。価格は約6800万円。築8年ほどの木造で、駅から徒歩15分の立地だ。融資にあたっては複数の金融機関に打診した。オリックス銀行からは5000万〜6000万円程度の提示があり、地元の信用金庫からは4500万円程度と、条件には差が出た。自己資金を少し多く入れることにはなったが、ここでは信金からの借り入れを選択。金利と今後の取引関係を重視したうえで、地元の信金を選択した。この物件では毎月約23万円の手残りを生み出しているという。

▲2024年に取得した堺市のアパート
西本オーナーは不動産投資を学ぶ中で、「利回り」だけでなく「積算評価」を重視する視点を得たという。
「利回りは『ちゃんと返せます』という指標。しかし銀行が本当に見ているのは、『返せなかったときにどうなるのか』なんです」(西本オーナー)
利回りが高くても担保評価が出ない物件は、銀行から見れば不安な点が多く、融資金額が伸びない場合が多い。一方、積算評価が高い物件は、何かあっても売却などの出口戦略で資金を回収できる見通しが立ちやすく、金融機関としては貸し倒れリスクが低いと判断できる。そのため、融資の金額や返済期間を伸ばしやすく、金利も低くなる傾向があるため結果的にキャッシュフローも改善しやすい。返済能力と出口戦略、その両方を意識することで、ようやく「賃貸業としての不動産経営」ができてきたという。
西本オーナーは「本業にも力を入れていきたい」と話す。そのため、賃貸事業には「限られた時間で、安定した成果を出す」ことを求めている。「急拡大はしない。失敗しない経営を続けたいですね。派手さはなくても、続けられることが一番大事だと思っています」(西本オーナー)
繰り上げ返済という失敗を経てたどり着いたのは、大きくもうからなくとも堅実な経営だ。手元資金をためながら、出口戦略でも失敗しない物件を選ぶ。地に足の着いた投資スタイルで西本オーナーは不動産と向き合っていく。
(2026年 4月号掲載)






