<<My賃貸経営スタイル>>
金融機関との連携でスピード買い付け
好条件物件を逃さず資産を拡大
鈴木篤オーナーは、群馬県内で11棟54戸の賃貸経営を行う投資家だ。家賃年収は全棟合計で約2600万円に上る。1棟目の購入から2年半でここまで拡大させてきたが、その要因は物件取得に際し、金融機関との連携による購入スピードがあったという。
鈴木篤オーナー(群馬県太田市)

群馬県渋川市で生まれ育ち、大学進学を機に東京に移った鈴木オーナー。1992年に大手カメラメーカーに新卒で入社以降、国内外の営業やマーケティング業務などを行い25年間勤めた。定年まで働くつもりでいたが、50歳手前となった2017年に会社から早期退職の募集があったという。
「『人生100年時代』という言葉が出てきた頃だったと記憶しています。65歳まで東京で会社員として働くよりも、自分の力で何かをやりたいと考えました。早期退職手当で支給される割増退職金も、ビジネスの資金にできると思い退職を決めました。この前年に子どもも生まれていたので、いろいろなタイミングが重なりましたね」(鈴木オーナー)
その後鈴木オーナーは、群馬県内の同族経営の建設資材商社に入り、事業経営を学びながら働いた。同時に資産運用を株や投資信託で行っていた。
「株や投資信託による資産運用は何となく昔からやっていました。ただ、自分の性格的に分散投資ができず、本当はよくないとわかりつつも一つのかごにすべてを投入するタイプの人間でした。結果的に株で大きな損を何度も繰り返したのです。具体的な金額は恥ずかしくて言えないですが、群馬県の新築戸建てが1~2戸買えるくらいかなと思います」(鈴木オーナー)
株のリスクを感じると同時に、21年ごろにたまたま不動産投資について話す動画を見たことをきっかけに賃貸経営に興味を持った。株よりもリスクが読みやすく、購入後の運営である程度利益もコントロールできることから、全力を懸ける投資先として、不動産はうってつけだった。 その後も動画を見たり、関連本を20冊以上読んだりして一通りの賃貸経営の知識を習得した後、実際に購入に動いた。当時影響を受けた人は、中島亮オーナーだった。中島オーナーは茨城県や群馬県など地方の高利回り物件をを中心に、キャッシュフローを重視して運営し成功した投資家だ。
そこで鈴木オーナーは自身も群馬県が居住地域であることから、同じく北関東を中心に、資産価値よりもロケーションと高利回りであることを重視した方針に決定。まずは取得条件を①エリアは群馬県内主要都市に限定②価格は1億円以下③表面利回り12%以上④1990年以降に建築された中古アパート・マンションと明確にした。
スピードを重視した購入
条件に合う物件をポータルサイトで探し、2023年に最初に購入したのは群馬県太田市の3800万円の物件。1995年築の2棟8戸で、表面利回りは12・1%だった。また同物件とほぼ同じタイミングで群馬県伊勢崎市に3棟18戸を購入。同じく95年築で価格は3680万円、表面利回りは17・5%を確保できた。これもポータルサイトで見つけたという。
「ポータルサイトでいい物件を見つけたら、すぐに現地を見に行きます。そのうえで問題がなければすぐに融資を打診し買い付けを入れます。将来の売却を考えると、掲載された瞬間に手が複数挙がるような物件を買わなければいけません。そのときに重要になるのはやはりスピードです」(鈴木オーナー)
- 23年に購入した太田市の アパート
- 23年に購入した伊勢崎市の アパート
鈴木オーナーのこのスピードを生み出している要因に、金融機関との関係があるという。
「勤めていた建設資材商社に、地元の信用金庫から転職してくる人が多かったです。その人たちに紹介してもらって、あらかじめその信用金庫にプロフィール資料を提出したり賃貸事業を始めたいと話していました。『協力するので、何か物件があれば持ってきてください』と言ってもらい、そこからいい関係を築き始めました」(鈴木オーナー)
実際、鈴木オーナーが不動産情報を持っていくと、数日内を目処に融資が下りるかどうか回答をくれるという。個人が借りる一般的な不動産投資用の融資審査は1週間以上かかることが多いため、これは大きなアドバンテージだ。この利点も生かし、めぼしい物件情報が出たと同時に現地確認、問題がなければすぐに融資打診からの買い付けという行動が取れるようになり、物件購入も進んでいった。
3棟目は2024年2月に群馬県高崎市の木造アパートを購入。1999年築で2棟12戸の物件で、価格は5980万円だった。また2024年9月にも太田市に軽量鉄骨造のアパートを購入した。1989年築の2棟8戸の物件で、価格は3800万円、表面利回りは11・1%。翌2025年5月にも伊勢崎市に1994年築の軽量鉄骨造のアパートを購入。2棟8戸の物件で、価格は4010万円。表面利回りは11・3%だった。
- 24年に高崎市に購入した アパート
- 24年に購入した太田市の 2棟8戸のアパート
こうしてわずか2年半の間に11棟54戸を取得し、賃貸経営を急速に拡大させてきた鈴木オーナー。信金との太いパイプを生かして所有物件を増やしてきた。しかし、その間には経営することの難しさを感じるトラブルにも遭ったという。
「2023年に購入した伊勢崎の物件なのですが、購入から2カ月たったある日の夜中に警察から電話があって。入居者の一人がしばらく見当たらないから中を見る必要があるということで、急いで鍵を持って現場に行きました。結果的に入居者は旅行中だっただけで何事もなかったのですが、焦った瞬間でした。また24年に取得した物件でも、購入3カ月後に高齢者の孤独死が発生しました。幸い早期に発見することができ、特殊清掃も不要な状態でした。そのほかにも外国人の長期滞納問題など、2年半の間にいろいろありました」(鈴木オーナー)
こうした経験の一つ一つを学びとし、賃貸募集の際の条件や特約を考えるなど日々賃貸経営者として成長している鈴木オーナー。
「株をやっていた時は利益のみを考えるような視点でしたが、賃貸経営には入居者がいます。やはり、快適に暮らしてほしい。自分だったらこれがあったらうれしいと思うことは、多少費用がかかったとしてもやるようにしています。今後は今まで以上により多くの人々の暮らしに役立てるよう、活動の場を広げて行きたいと思います」(鈴木オーナー)

25年に購入した伊勢崎市の2棟8戸のアパート
3年前にはファイナンシャルプランナーと宅地建物取引士の資格を取得。25年末で建設資材商社も退職し専業家主となった鈴木オーナー。27年末までに20棟100戸を取得し、年間キャッシュフロー1000万円の達成を目標に掲げている。
(2026年 4月号掲載)






