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オートロックマンションで置き配が可能
配達中であるかを判定して解錠
アイホン
宅配事業者による「置き配」は、居住者にとっては便利な半面、不審者対策という点では不安も多いサービスだ。インターホン大手のアイホンが提供する「Pabbit(パビット)」は、オートロック付き集合住宅における置き配・宅配対応を安全かつ効率的に実現する次世代型解錠ソリューションである。宅配事業者の入館を適切に制御することで、居住者の利便性と建物の防犯性を両立させる点が特長だ。
エントランス訪問者は多様に 大多数が宅配業者
近年、宅配需要の急増により、集合住宅のエントランスは、居住者以外も頻繁に訪れる場所になっている。実際に、同社がオートロック付きマンションのインターホン利用実態を調査したところ、インターホンの呼び出し回数の大多数を宅配事業者が占めていることがわかった。
Pabbitは、宅配事業者が実際に荷物を配達中である場合に限り、伝票番号をはじめとする荷物情報を使ってオートロックを解錠することができるシステムだ。宅配事業者は、エントランスのインターホン上であらかじめ登録されている事業者を選択し、荷物の伝票番号などを入力する。宅配事業者のサーバーと照合し、その荷物が「配達中」と判定された場合にのみオートロックが解錠され、宅配事業者は建物内に入館できる仕組みだ。

▲宅配事業者はインターホン上で操作を行う
システムのカスタマイズも可能 利便性向上と防犯性強化を両立
Pabbit開発の背景には、宅配事業者が直面する再配達問題と、集合住宅側の防犯リスクの顕在化という二つの面があった。物流業界での人手不足や過重労働問題によって、宅配事業者は「再配達」を減らすべく「置き配」の促進を図っている。
しかし、オートロック付きマンションでは、その対応が難しい。宅配事業者が自由にマンションの中まで入ることができるようになると、宅配事業者を装った「なりすまし」により、不審者が侵入できてしまうという負の側面もあった。Pabbitはこの二つの問題を解決すべく開発されたシステムだ。
Pabbitでは、配達中の荷物を持った宅配事業者だけが、マンションに入館できるようにする。これにより、利便性向上と防犯性強化を同時に実現する。
開発にあたっては、宅配認証システムに強みを持つPacPort(パックポート:東京都千代田区)と共同でスキームを構築し、アイホンのインターホンとPacPortのクラウドサービスを連携させた。これにより、宅配事業者ごとに異なる運用ルールや、物件の規模・構造といった特性に応じて、解錠方法を柔軟にカスタマイズできる仕組みを実現している。
賃貸中心に導入進む 介護、家事代行などと連携も視野
Pabbitは現在、全国47都道府県の集合住宅で導入が進んでおり、特に賃貸住宅を中心に採用が拡大している。インターホン更新や新築時の設備選定を契機に導入されるケースが多いという。
2024年9月以降は導入ペースが加速しており、世帯数の多い物件では消防設備と連動可能なdearisシリーズ、賃貸向けにはPATMOαといった用途別の採用が進んでいる。オーナーや管理会社にとっては、建物全体の設備を刷新することなく、置き配対応とセキュリティー強化を同時に実現できる現実的な選択肢となっている。
今後は、宅配事業者との連携拡充に加え、生活協同組合(生協)や宅配スーパー、さらには介護、家事代行など、エントランス通過を必要とする生活支援サービスへの応用も視野に入れる。
同社の国内営業本部法人営業部事業開発課森田和幸スペシャリストは「再配達コストの増加や制度面での後押しを背景に、置き配を前提とした建物設計、運用が一層広がっていく見通しだ。利便性と防犯性を両立させる住宅設備として、物件の付加価値向上に寄与していきたい」と話す。
インターホンに標準搭載 「置き配可」で付加価値向上
Pabbitは、新築時にアイホンが提供する「dearis(ディアリス)」シリーズや「PATMOα(パトモアルファ)」のインターホンを採用することで、追加の初期費用をかけずに利用できる点が大きな特長だ。これらの機種では、Pabbitがインターホンの標準機能として搭載されており、後付けのシステム導入を必要としない。
既築物件に後付けで導入する場合は「Pabbit Lite(ライト)」と呼ばれる専用端末を追加設置することで、既存のインターホンをそのまま活用しながらPabbitを利用できる。

▲PATMOαの外観
Pabbit Liteは、エントランスの既存インターホンに外付けで設置する仕組みだ。新たにネット回線の工事や回線契約を行う必要はなく、機器の設置工事のみで運用を開始できるため、既築物件でも導入のハードルは低い。
Pabbitを導入することで「置き配可」という付加価値を明確に打ち出すことができ、入居希望者への訴求力を高めることが可能だ。
(2026年4月号掲載)






