広島|軍港の街から半導体と防衛の街への転換
豊田裕之オーナー

かつて日本製鉄瀬戸内製鉄所呉地区の休止により揺れた呉市の不動産市場が、転換点を迎えています。大手半導体製造装置メーカーであるディスコの新工場建設案と、防衛省による製鉄所跡地の活用案が浮上しており、同市の今後の賃貸需要に期待を持たせているのです。
ディスコの新工場建設では約1300人規模の直接雇用が見込まれ、若年層の流出を止める可能性があります。同社は平均年収の高いことでも知られており、賃貸市況の好転もあり得るでしょう。また防衛省により多機能な複合防衛拠点が整備され、高度な専門スキルを持つ人材や技術者が駐在すれば、安定した公的需要を生み出すだけでなく、地域のインフラ整備にも寄与しそうです。
最新の地価公示では、呉市全体の平均価格は緩やかな推移を見せていますが、個別地点では変化が顕著です。好立地への選別投資が進み、例えばディスコ新工場建設予定地に近い広地区や、JR呉線沿線の利便性が高い地域では今後さらなる上昇が期待されます。工場は2028年春に完成予定。防衛省案は時間がよりかかる見通しですが、製鉄所跡地問題という「霧」が晴れ、国家規模の投資という「光」が差し込んで、呉市のポテンシャルを再評価すべき時期に来ています。
(2026年5月号掲載)






