洗車機と手洗いブースを備えた新形態の洗車場 ―大和ハウスパーキング

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洗車機と手洗いブースを備えた新形態の洗車場

全国で約8万車室のコインパーキングを運営する大和ハウスパーキングは、2024年から新タイプの洗車場「D─Wash(ディーウォッシュ)」を展開している。同洗車場には洗車機と時間貸し手洗いブースを配備し、洗車需要に幅広く対応。「洗車が日常化する」工夫を施すことで、当初予想を上回る利用者を獲得しているという。地主は同社に土地を貸すだけで始められる新しい土地活用法だ。

大和ハウスパーキング(東京都港区)
酒井太社長

高純度の水で水跡残さず

 名古屋市内の幹線道路を車で走っていると「D─Wash」と青字で書かれた看板が目に飛び込んでくる。300坪ほどある敷地の入り口正面にはドライブスルー型の洗車機があり、左側には屋根付きの手洗いブースが五つ並ぶ。洗車機は、キャッシュレス決済やサブスクリプションプランを利用すれば、車から降りることなく最短で2分で洗車が完了。一方、手洗いブースは予約制で、時間単位で課金される仕組みとなっており、利用者は自身のスケジュールに合わせて思う存分洗車ができる。

 同社の酒井太社長は話す。

 「D─Washは『日々の生活のルーティンとして洗車を自然に取り入れていただけるように』をコンセプトにしています。スピード、手軽さ、クオリティーを兼ね備えたサービスによって、これまで月1回だった洗車を週1回レベルにまで引き上げ気軽に洗車できるような工夫を施しています」

名古屋みなと店は300坪ほどの敷地内に洗車機1機と5つのブースがある

 D─Washのもう一つの特徴として、水質へのこだわりがある。敷地内に入ると目につくのが、「超純水」の文字だ。同社が水にこだわる理由は、水道水で洗車をすると水に含まれている不純物が残り、ウオータースポットや水跡と呼ばれる白い汚れが残るからだ。

 「D─Washでは大型純水生成機を導入し、高純度純水を提供しているため、機械洗車後に拭き上げなくてもほぼ跡が残りません。さらに「高機能バブル発生器」をすべての洗車水に利用。高純度純水をバブル化することで、クオリティーの高い洗車用の水を生み出しています」(酒井社長)


 利用料は場所によっても異なるが、例えば名古屋市の店舗では洗車機は純粋水洗い600円、シャンプー洗車800円、手洗いブースは、最初の30分1200円(以降10分ごとに100円)となっている。なお手洗いブースの最も多い利用時間は90分だという。

半年で単月黒字化を実現

 2月末現在、東京、埼玉、神奈川、愛知、富山、奈良、大阪、福岡に11店舗あり、1店舗あたりの月間平均利用台数は1万台に迫るほどだという。実は開業前の試算では、月間5000台の利用を計画していたというのだから、その2倍ほどの数字で推移しており、利用者の増加は顕著だ。その結果、他社の洗車場が採算ベースに乗るまでオープンから2年ほどかかるところ、D─Washは半年で単月黒字化を実現したという。

 順調に利用者数が増えている理由には、前述した利用の手軽さや水へのこだわり以外にもいろいろある。

 まずは、手軽さを重視するライト層も含めた幅広い顧客を取り込んでいることだ。女性でも利用しやすい空間にするために、デザイン性の高い看板や清潔感のあるトイレなどを用意。ブース内には扇風機が設置され、暑い日でも快適さを提供している。その結果、利用者の半分近くは女性ドライバーが占める。

わかりやすく目にとまりやすいサイン

 一方、コアな洗車愛好家に対しても使いやすさを追求した設備を用意している。具体的には、各ブースの両サイドにホースがあること。洗浄用と掃除用とそれぞれあり、効率良く洗車することができる。エアガンや高圧洗浄機、脚立やバケツを備品として置いてあるのも好評だ。

 マーケティング面でも工夫している。新店舗をオープンする際、最初の1カ月は利用料無料でサービスを提供していることだ。洗車場事業の難しいところは存在を知ってもらい、利用客を獲得することにある。そこで、同社では一度利用すれば、洗車のクオリティーをわかってもらえると考えて大胆な営業手法を展開している。その結果、同社の利用者のうちリピーターが8割ほど。一度利用した人の満足度は高いといえるだろう。

 

 さらに、SNS上での利用者とのコミュニケーションにも注力。SNSで利用者が 「こんな物があったら便利」と投稿すれば、同社ではできる限りその要望に対応する。しかも洗車愛好家がSNSにD─Washの感想を投稿すると、その投稿を見た他の洗車愛好家たちがコメントやシェアをして情報が拡散される。

 「例えば、ブースにはバケツが二つあったほうが助かるという投稿や、棚を大きくしてほしいという投稿があったので、すぐに対応しました」(酒井社長)

 対応したら、利用者が再び喜びの声として、SNSに投稿して、高評価を得るという循環が生まれている。こうした効果もあって、同社はSNSを逐次チェックしているのだという。

ナンバー検知式入庫システム(中央のポール)を採用。スマホで決済できる

投資不要、土地を貸すだけ

 D─Washの事業形態は、土地を地主から借りて、大和ハウスパーキングが施設に関わるすべての投資を行う。そのため、地主は初期費用が不要。契約期間中の施設に関わる修繕費用などの追加投資もなく、契約期間中は安定収益が得られる。契約期間は基本15年以上の事業用定期借地契約を結ぶ。

 今、新規出店で想定している土地の広さは350坪以上で、500坪が最適。ドライバー向けのサービスということもあり、立地条件としては、ロードサイドの土地で、工業エリアが望ましいという。

 出店スピードとしては、基本ベースは年間10店舗だが、今期はすでに13店舗の出店が決まっている。

 「自動車やオートバイを常に美しく保つ環境を整えるとともに、近年では自動車に装備されている各種制御カメラやセンサーの性能を維持するために洗車するニーズも新たに生まれています。これらの機器は常に高いクオリティーを保つことが求められ、従来の平均的な洗車頻度では対応が難しくなっています」と、酒井社長は洗車ニーズの拡大について熱く語る。

 同社が洗車事業を始めたきっかけは、2年前に「D─Stationプロジェクト」をスタートしたことにある。このプロジェクトは従来の「車を止めるだけの場所」というパーキングの概念を超え、その街に暮らす人々の「こんなサービスがあったらいいな」という思いを形にし、パーキングを起点とした多様なモビリティーサービスを展開し、顧客の利便性向上を図る「ステーション化」を目指すというものだ。

 洗車場もいざ始めてみると意外なニーズがあることに気付くという。例えば、一つの手洗いブースに3人のバイカーが集まって和気あいあいと会話しながら洗車するケースがあったという。仲間との憩いの場としての役割を果たしている。

 「D─Washは単なる洗車場ではなく、『洗車プラスアルファ』の新しいライフスタイル空間を目指し、全国に拠点を増やしていきます」(酒井社長)

(2026年5月号掲載)

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