マルシェが入居希望者と住民をつなぐ

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マルシェが入居希望者と住民をつなぐ


 入居希望者が募集広告を掲載し、物件オーナーが貸し出しを申し出る、従来とは逆の形で入居者と物件をつなぐ不動産ポータルサイト「さかさま不動産」を運営するOn-Co(オンコ)。同社が、JR東海と愛知県大府市と共同で「さかさマルシェ」を開催した。

On-Co(名古屋市)
プロジェクトマネージャー 奥田啓太氏


 同マルシェには、近隣で店舗開業を目指す入居希望者が出店したほか、地域で空き家や空きテナントを抱える家主のための不動産相談窓口が設置された。

 JR東海との共同によるさかさマルシェの開催は、2025年の岐阜県多治見市に続く2カ所目となる。

 大府市での開催の背景には、大府市が抱える「駅の利用者数は多いのに、駅周辺の満足度が低い」という問題がある。愛知県が推進する、自治体とスタートアップをつなぐ枠組み「スタまち〜スタートアップ企業と自治体で挑む、未来のまちづくり〜」を通じてOn-Coの提案が採用され、JR東海を交えた3者で駅前のにぎわい創出と不動産活用の促進を狙う実証実験としてさかさマルシェを計画した。JR大府駅前で、2025年12月から26年3月まで全4回開催された。

 第1回では、市内に空き家・空きテナントを所有する家主が3名来場し、第2回では市内でのポスティングに加えSNSや「LINE」公式アカウントでも周知した結果、近隣市町村の家主も来場。第3回に向けた出店者募集では77件の応募が集まるほどの広まりを見せた。出店実績やSNSのフォロワー数を重視する一般的なマルシェと違い大阪市で物件を探している人や、市内在住など地元に縁や思い入れのある人を中心に選考したという。

 

 さかさマルシェの運営を担当する奥田啓太プロジェクトマネージャーは「On-Coの運営サイト・さかさま不動産では、これまで多くの入居希望者と不動産オーナーのマッチングを実現させてきました。一方で、ウェブ上では入居者の思いを広く届けられるものの、サイト自体を知らないオーナーには情報も熱意も届けられないという問題を感じていたのです」と話す。


 そこで、出店者の人柄や熱量が伝わるマルシェを入り口に据え、入居希望者にも出店してもらうことで、来場する家主との接点をつくった。チラシには入居希望者の店舗画像に「物件探し中」の表示を入れ、本人の雰囲気が伝わる顔写真を使うなど、家主に届くよう見せ方を工夫した。

 イベントで駅前を盛り上げながら、出店希望者と家主をつなぐことで、地域社会に持続的なにぎわいを生む。さかさマルシェは、今後ほかの自治体でも開催を予定している。

/入居希望者が広告を出す 「さかさま」の不動産ポータル/

 さかさま不動産は、On-Coが運営する不動産ポータルサイト。一番の特徴は、物件オーナーではなく入居を希望する個人が広告を掲載する点だ。

 同サイトでは「自分の店を開きたい」というクリエーターや「長期滞在中に日本文化を感じながら暮らしたい」という外国人が、写真と共に自身の夢への思いを語っている。

 現在、On-Coでは、個人の「やりたいこと」を入居につなげてきた経験を生かして「さかさまAI」を開発。借主向けの体験版としてさかさま不動産のサイト上で公開している。移住や開店の計画を、AIとの対話を通してさかさま不動産への掲載向けにまとめることができる。今後、移住者受け入れを行う自治体などと共同で正式版をリリースする予定だ。


(2026年5月号掲載)

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