<<企業探訪>>
ショールームで伝える商品力 構造・建材が強みの高収益賃貸住宅
めぐる(東京都大田区)
広さを実感できる空間
「めぐる組」の屋号で都内を中心に賃貸マンションを建築するめぐるが、3月にショールームをオープンした。
新社屋内にあるショールームは、同社の賃貸マンションブランド「RECORRIDO」の標準仕様を再現したもので、27㎡の1LDKとなる。
- (右)牛山貴瑛社長 (左)大神驍人事業開発本部長
30㎡未満の広さで1LDKと聞くと、広さ的に不安を覚えるが、全く狭さを感じさせない。3つの工夫による効果があるためだ。1つ目は廊下を省いたこと。これにより、同じ専有面積のほかの物件より実質的な居室スペースを広く確保できる。ただ廊下をなくすと外からの冷気が侵入するため、寒冷地仕様の断熱ドアを玄関に採用している。2つ目はLDKを10畳確保している点だ。その代わりベッドスペースはダブルベッドが置ける2畳ほどになるが、LDKの広さがそれをカバーしている。
- ▲前面に天然石パネルを貼ったキッチン
- ▲コンパクトなベッドルーム
3つ目は、RC造の中でも壁式工法を採用している点だ。壁式工法は壁自体が構造躯体となり、柱や梁がない。そのため、室内に凹凸が発生せず広く空間を使える。ショールーム自体は既存建物を改装したため壁式工法ではないが、それでも狭さは感じさせない。
さらに、設備・建材にもこだわっている。床材は無垢フローリングを採用、キッチンの壁は天然石タイルを張っている。リビングの天井には3本のライティングレールのほかに、プロジェクターも設置し、壁に映像を投影することができるようにした。
「こうした『飛び道具』を採用し、入居時にファンになってもらえるようなインパクトを重視しています」と牛山貴瑛社長は話す。

▲標準仕様のプロジェクターで壁が大画面に
構造設計を優先しコスト削減
これだけのハイスペック仕様ながら、施工コストも抑えている。建築費や資材の高騰で、今RC造の坪単価相場が200万円を超える中で、200万円未満を実現した。「理由は設計力と仕入れ力にあります」と話すのは、大神驍人事業開発本部長だ。
まず、設計力については、一般的な建設会社と異なり、意匠設計よりも建物の安全性と効率性を追求する構造設計・設備設計を優先しているという。「当社では延べ床面積500㎡未満の賃貸マンションを扱う工務店としては珍しく、社内に構造を深く理解する設計士を抱え、自社で設計監修を行っています」(大神本部長)
- ▲2階のオフィス部分もショールームとして活用
- ▲ショールーム内の壁の一部には外壁材も使用している
同社では、過剰なコンクリートや鉄筋の使用を避けることにより、躯体費用を約20%削減している。また、同社と同等規模の他社では、意匠設計を自社で行っても構造設計は外部に発注するため、構造設計を内製化している同社よりも壁厚が厚くなる場合が少なくないという。構造設計を外部委託すると意匠設計をベースに構造計算するからだ。壁厚の違いだけでコストが40%異なることもあるという。
さらに、法令順守のための設計図面とは別に、現場経験のある設計士が現場用の図面を新しく作成。これにより、資材の無駄遣いや工事のやり直しが発生せず、施工単価の抑制につながっている。
構造が最適化されたうえで、配管など設備の経路を、安価になるようにデザインしている点も大きなポイントだ。「配管ルートの最適化により、配管費用が100万〜200万円単位で変わることがあります」(大神本部長)
壁式工法によってラーメン構造に比べてコストを削減し、その分を間取りに生かしている点も大きい。
構造や配管の設計を重視することが、建物自体のコスト削減に大きく寄与している。
ショールームのように、27㎡で1LDKというコンパクトながら廊下を省きLDKを広く取るなど間取りにゆとりを持たせているためだ。実質的な利用面積で比較すると、相場よりも高い家賃で成約するケースが多い。同一規格のほかの物件より、平均8%高い賃料を実現しているという。
(2026年6月号掲載)






