新たな幸せ手に入れ、笑顔で退去

賃貸経営入居者との関係づくり

※この記事は地主と家主(旧家主と地主)2023年12月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。

<<入居者との思い出>>

離婚協議中に入居した女性
新たな幸せ手に入れ、笑顔で退去

横浜市で女性入居者限定のマンションを運営している榎本了三オーナー(横浜市)。マンションの居室内は、カラーコーディネーターのアドバイスを受けて、壁紙やフローリングの色にこだわり、女性に好まれる明るい色使いに。また、清掃や植栽など入居者と顔を合わせることの多い作業は、妻の千尋氏が主体で行なっている。入居者にリラックスして生活してもらうための配慮からだ。

榎本了三オーナー(横浜市)


 そのマンションに9年前、30代の女性で会社員のA氏が入居してきた。入居当初のA氏は化粧を全くしておらず、髪もボサボサ。ひどく疲れた顔をしていたという。

 「しばらくすると、家賃の振り込み名義の名字が変わり、管理会社から離婚のためという連絡がありました。入居時は離婚協議中だったそうで、いろいろ心労があったのではないでしょうか」と榎本オーナーは語る。

 当初は体調や精神面が心配になるほどの様子だったが、2~3年たつとA氏は髪形を変え、化粧もきちんとして、別人のように美しくなった。

 「最初はこのかわいらしい女性は誰だろうと思って。Aさんだとは、すぐにわかりませんでした。夫とも、元気になってよかったねと話していたのです」と語る千尋氏。

 入居して4年ほどたった頃、管理会社からAさんが再婚を機に退去すると連絡があった。その後、A氏から感謝の手紙とチョコレート風味のおしゃれな紅茶をプレゼントされた。手紙には「今までここに住まわせてもらって、本当に良かった。すごく感謝しています」と書かれていた。

 「その手紙を読んで、私たちも幸せな気持ちになりました。この物件は入居者を1人暮らしか姉妹の女性に限定していることもあり、結婚を機に退去する人が多いのです。家主としては残念ですが、ここに住んで幸せを手にした人たちの旅立ちを、心から祝福したいと思っています」(榎本オーナー)

▲物件は京浜急行電鉄本線戸部駅徒歩5分の場所に立つ。女性限定なので警備会社と契約し、セキュリティーに配慮している

[プロフィール] えのもと・りょうぞう
1968年、横浜市生まれ。2000年に母のマンション1棟6戸を相続。病院勤務の薬剤師であるため力仕事を主に担当し、管理は妻の千尋氏(写真左)が中心。玄関の飾り付けやメッセージボードの設置など、人とのつながりを大切にしている。


(2026年7月公開)

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