住宅確保要配慮者に寄り添う賃貸経営

賃貸経営入居者との関係づくり

<<入居者との思い出>>

高めの家賃設定でも満足される
住宅確保要配慮者に寄り添う賃貸経営

 高齢者や外国人といった賃貸住宅が借りにくい傾向にある人を、積極的に受け入れている越水隆裕オーナー。所有物件はこうした「住宅確保要配慮者」と呼ばれる人たちの、最後のよりどころとなっている。

越水隆裕オーナー(川崎市)

 2025年夏に築44年の木造アパートに、高齢者夫婦が入居した。夫は78歳、妻は82歳。20件以上断られ、仲介会社から「もう越水さんのところしかない」と連絡を受け、入居が決まった。

 夫は長年近所で電気店を営んでいたが、今は息子に任せている。以前は息子家族と共に持ち家で暮らしていたが、別々に暮らしたほうがお互いに気が楽だという理由で、賃貸住宅を探していたのだ。

 越水オーナーは週に1度、清掃がてら物件に足を運び、夫婦にあいさつをしているが、夫婦はお茶を用意して歓迎してくれるという。賃貸住宅に住んだ経験がなかったことから、入居してしばらくは「下の階に音が聞こえていないか」「雨水は落ちていないか」などと心配していたが、「大丈夫だから安心してくださいね」と話すようにした。そのかいあってか、今ではコンパクトな空間での2人暮らしを楽しんでいるという。その後は、物件の電球をLEDに交換する際、息子の電気店に発注するなどビジネスでのつながりもできた。この夫婦以外にも、越水オーナーの物件には80代以上の夫婦が3組と、居室で個人塾を開いている70代の女性がいる。

「老人ホームではなく、自由に生活できる賃貸住宅を希望する高齢者は多いのですが、孤独死や家賃滞納を恐れて断るオーナーが多いのが実情です。しかし身元が確かで経済的に問題がない人であれば、コミュニケーションを密に取ることで問題は事前に防げると思います」と越水オーナーは話す。

▲高齢夫婦が住む築44年、駅から徒歩12分、1DKのアパート。家賃は7万2000円。近隣の同等物件の家賃平均は5万8000円だ

 越水オーナーは高齢者だけでなく、大型犬を飼っている人など、入居者の属性を広げている。住宅確保要配慮者は、退去のリスクが低く、家賃も近隣の同条件の物件に比べて高めに設定できるというビジネス面でのプラス要素もあるからだ。

「その分、台風など入居者が不安になるようなことがあった際は、すぐに駆け付けられるようにしています。『顔の見える大家がいる安心感も家賃のうち』と考えてくれているのでしょう。今後も入居者の不安に寄り添うとともに、誠実な対応を心がけたいです」(越水オーナー)

[越水隆裕オーナープロフィール]こしみず・たかひろ
川崎市生まれ。英国留学を経て2003年に父のアパレル輸入卸・販売会社に入社。同時に父名義の賃貸物件管理も開始し、現在6棟70戸を自主管理。異業種交流会「コシガタリ」や地域清掃活動「キラッとおそーじ同盟」を主催。

(2026年 6月号掲載)

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