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- まちのコモンズ風通しのよい暮らし ―竹之内祥子著
<<著者インタビュー>>
まちのコモンズ、風通しのよい暮らし
食から始まるゆるやかなコミュニティ
自宅を改修し、失われつつあるコモンズを生み出す
─この本を書くことになった経緯を教えてください。
もともと「本を書きたい」という思いがあった中、出版社との縁で発行することができました。私がオーナーを務める「okatteにしおぎ」が10周年の節目を迎え、その歩みを記念に残しておきたかった気持ちもあります。この本はウェブマガジンでの連載の内容に、社会人大学院での研究成果と書き下ろしを加えています。
─読者からどのような反応がありましたか?
章ごとに反応が異なるのが面白いですね。第1章のコモンズを生み出すプロセスはコミュニティー賃貸に興味がある人、コモンズの第2章の家族の記憶の部分では、私自身の人生に共感してくれた人から感想が寄せられています。第3章は、コモンズ研究者から感想が寄せられることが多いです。面白いのですが、コミュニティー賃貸についてセミナーで話す時に、よく失敗談を聞かれます。書籍は形として残るものなので、ついいい面ばかりを書きたくなりますが、そこを抑えて、うまくいかなかったことも正直に執筆しました。例えば、子連れの参加者が多かった時に女性たちだけが盛り上がり、子どもへの対応に専念せざるを得なかった男性参加者からは不満の声が上がったエピソードも、ありのままに書いています。
─この10年の運営を振り返って変化を感じましたか。
新型コロナウイルスの流行前後で、利用者のニーズがイベント開催から暮らしへの密着へと変わりました。以前は、職場や家庭でもないサードプレイスとして、メンバーが集まってイベントが開催されていました。以降は仕事場や読書をする場所といった、より日常生活に根差した場所として活用されており、私自身もこの変化を楽しんでいます。
─本の終わりには、この先5年への思いが書かれていますね。
そうですね。現在、物件の相続問題が目前に迫っており、いかにしてこの場所を残していくか模索しています。単なる賃貸物件であれば、売却して現金化することも手段になり得ます。しかし、これまで築いてきたコミュニティーにおけるつながりを守るために、次世代へ引き継ぐ手段を見いだしたいと考えています。
著者プロフィール
竹之内祥子(たけのうち・さちこ)

「okatteにしおぎ」オーナー。コンヴィヴィアリテ社長。上智大学大学院文学研究科博士前期課程修了。立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科博士前期課程修了。1983年、夫と共にシナリオワークを設立し、2005年の夫の急逝後は社長に就任。シングルで子育てをしながら、会社ではリサーチと消費者インサイトを基に商品開発やコミュニケーション戦略立案を手がけた。15年、祖父母の代からの自宅をリノベーションし、okatteにしおぎをオープン。
まちのコモンズ、風通しのよい暮らし
食から始まるゆるやかなコミュニティ

著者:竹之内祥子
出版社:ブルーブラックカンパニー
価格:2420円(税込み)
概要
東京都杉並区の住宅街にある「okatteにしおぎ」は、誰もが使えるキッチンのある住まい。そのオーナーである筆者は、家を開くことに興味を持ち、自宅の増改築をきっかけに家主に転身。同書は、住宅や家族の記憶、そして「終活」とも向き合いながら、コモンズ(共有地)から始まる風通しのいい暮らしを目指した10年間の活動記録である。
(2026年7月号掲載)






