新連載 クルーズとは”動くホテル”

人生に船旅

<<人生に、船旅という選択を ~大人のためのクルーズ案内~ >> 第1回

クルーズとは“動くホテル”
「大船に乗ったよう」に身も心も任せて

 「クルーズ」と聞いて、どんなイメージが浮かぶだろうか。夜な夜なタキシードに身を包んで社交ダンスが楽しめる豪華客船、あるいはハネムーンのカップルが乗る巨大な船―そんな「非日常の極み」という印象を持つ人も多いかもしれない。

 クルーズ初体験の人が口をそろえて言うのは「思っていたのと違った」という驚き。例えば一口に「不動産」といっても立地やスペックによって千差万別であるように、クルーズも船やコースによって千差万別。タキシードが必要なフォーマルな船もあれば、ハーフパンツで乗船可能なカジュアルな船もある。

写真上:豪華な内装のダイニング。食事はクルーズ代金に含まれ、何をオーダーしてもいい
写真下:ディナーのコース料理。写真は「飛鳥Ⅲ」のフランス料理レストラン「ノブレス」のもの

1つの街が丸ごと 海の上に浮かぶ

 クルーズ船を一言で表すなら「動くホテル」。ここでいうクルーズはレジャーを目的として宿泊を伴うもので、最短1泊から、最長だと100日を超える世界一周クルーズまである。

大規模なウオータースライダーがある船も

 クルーズ船の規模もさまざまだ。世界で主流の大型船ともなれば全長300mを超え、乗客数は数千人。複数のレストラン、バー、プール、シアター、スパ、ショップ、カジノまでそろい、1つの街が丸ごと海に浮かんでいると言っても過言ではない。

 一方、定員が数人~200人程度の小型船もある。こうした船では自分の名前を覚えてくれるウエーター、好みを把握してくれるバーテンダーといった「なじみの店」のような関係が航海の間に自然と育まれていく。

写真左:非日常の空間が広がるカジノ
写真右:社交ダンスを楽しめるダンスホール

楽・絶景・社交 魅力の3大要素

 「荷物を持たなくていいし、パッキングもしなくていい。とにかく楽!」。クルーズを体験した人の多くが、こう口をそろえる。クルーズではひとたび荷物を客室に入れてしまえば、到着した港を軽装で散策可能だ。

 移動時間が旅の楽しみ時間に当てられるのもクルーズならでは。陸の旅行では座席に座っているだけの移動時間に、船旅では食事やダンスを楽しんだり、プールで泳いだりできる。

 船上からの絶景もクルーズならではだ。大海原に昇る朝日、水平線に沈む夕陽。日本の港町では出港時に市民総出で見送ってくれることもあり、そんな光景はじんわりと心に染みる。

日本を航行する「ダイヤモンド・プリンセス」の船尾

 さらにクルーズがほかの旅と根本的に違うのは「同じ時間を共有するコミュニティー」が生まれる点だ。船内イベントで知り合った乗客と話が弾み、翌日の寄港地で一緒に観光し、最終日には連絡先を交換する―そんなことが珍しくない。クルーズの世界に「船友」という言葉があるほど。

 体に優しい旅行スタイル、絶景との出合い、そして社交から生まれる新たなつながり―この3つがそろうのが、クルーズという旅の醍醐味だと私は常々感じている。そんなクルーズ旅についてこれから1年間紹介していきたい。

海事プレス社「CRUISE」 田絵里 編集長

1999年、早稲田大学卒業。607日間の世界一周旅行を経て旅行メディアの世界へ。2010年、海事プレス社入社、15年より日本初のクルーズ専門誌「CRUISE」編集長。国内外クルーズラインの取材、誌面制作を幅広く手がけ、「WEB CRUISE」の運営も担う。

 

(2026年7月号掲載)

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