<<【連載】眠っているお宝 目の付けどころ:vol.17>>
茶道具
一昔前は、茶道は華道と並ぶ花嫁修業の定番であり、実業家や政治家、華族、地方の名士などの邸宅には茶室が設けられることが多かった。一流の趣味人の証しとして道具一式がそろえられ代々受け継がれてきた結果、「そういえば蔵に眠っている」という家もあるだろう。
しかし、着物の着付けや作法の難しさ、師匠の高齢化などもあり、茶道人口は年々減少傾向だ。それでも、使う人が減ったからといって茶道具すべてに価値がなくなるわけではない。
それを物語るのが2月21日、東京都江東区の毎日オークション本社で開催された「岩田家旧蔵特別コレクション」だ。同オークションは、実業家一族である岩田家が明治・大正期から収集してきた美術品が一般に公開・競売されるもの。最高額は初代 楽 長次郎「黒茶碗 銘 閑居」で9億2000万円、次いで3億1050万円で落札された「井戸茶碗 銘 常盤」と、高額品はいずれも茶道具だった。
権力の象徴でもあった茶道具
織田信長が領地の代わりに名物茶器を功労のあった武将へ与えるなど、戦国時代においては、茶道具は土地や黄金などに匹敵する価値を持つ〝権力の象徴〟でもあった。1861年創業の老舗骨董店「茶源」7代目の堀木源輝代表は「茶道具とは茶碗だけでなく、茶筅や茶杓、棗、水指など、茶道に使用されるさまざまなものを指します。素材や年代、作者などにもよりますが、高額査定が期待できる骨董です」と話す。

▲共箱や仕覆、ひも、鑑定書など、付属品がそろっていたほうが高く売れる
堀木代表が以前、三重県四日市市で行った出張買い取りで、楽茶碗50万円、銀製品30万円など計350万円の鑑定をしたことがあるという。別の買い取り事業者からは1000円と査定され、「捨てる寸前のものだった」と依頼人からは驚かれた。
「茶道具は多種多様で、奥の深いものです。贋作も多いので、査定依頼は骨董を専門に扱っている、買い取り経験の豊富な鑑定士に相談することをおすすめします」(堀木代表)
高額査定のためのポイントは主に3つだ。第一に、共箱や仕覆、ひも、鑑定書などの付属品を捨てないこと。第二に、すべての道具をそろえて鑑定に出すこと。第三に、保存状態が良好であること。ほこりや汚れが付いている場合は、柔らかい布で優しく拭いてきれいにするといい。強くこすって傷を付けることがないように、注意が必要だ。
美術品としての魅力もある茶道具。その価値を正しく評価してもらうために、できることを知っておこう。
茶源(三重県四日市市)
堀木源輝代表

江戸時代から160年余り続く、老舗骨董店および骨董市場を主催する茶源の7代目。幼少の頃から骨董に親しみ、特に茶道具の鑑定を得意とする。
■店舗情報

1861年に四日市で茶道具商として創業した骨董店。現在は美術品・骨董を幅広く扱っている。
(2026年7月号掲載)






