イベントレポート:需要拡大中の高齢者賃貸

賃貸経営イベント

<<イベントレポート 需要拡大中の高齢者賃貸>>

リスクを管理し戦略化する

不動産オーナーにとって高齢者の受け入れは重要なトピックの1つだ。だが、孤独死のリスクが真っ先に浮かんで二の足を踏むことも少なくない。一方で、受け入れることで長期入居となり賃貸経営の安定化に結び付く場合もある。

事業立ち上げのきっかけは高齢の両親が直面した壁

 3月26日、川崎市で交流型不動産セミナー「コシガタリ」が開催された。1都3県を中心に約35人が参加し、福島県や名古屋市など遠方からの来場も見られた。

 第124回目のテーマは「起業」。2月に不動産仲介事業を立ち上げたamuの影山桐子社長が登壇した。

 「父はお金があっても、高齢を理由に何十回も入居を断られました」(影山社長)

セミナーに登壇した影山社長


 軽度の認知症となった母と暮らすため賃貸住宅への住み替えを望んだ父は、入居を断られ続けた。当時、雑誌の編集長をしていた影山社長は自ら契約者となるしかなく、「誰もが高齢者になるのに、この現状はおかしい」と起業を決意した。

 影山社長の講演に先立ち、COMPASSの鈴木優介社長は、高齢者単独世帯の32・2%が賃貸住宅に居住し、若年層と同水準にあると指摘。孤独死も現役世代が4割を占め、「過度なリスク認識が参入障壁となっています」と話した。

保証や見守りを活用 家主の不安は軽減できる

 一方で、保証会社の活用や契約設計により、リスクは管理可能であり、高齢者は長期入居につながる安定顧客になり得ると強調。主催者である越水隆裕オーナーも高齢者を積極的に受け入れ、相場より高い賃料でも満室経営を維持している。

 この流れを受けて影山社長は、現在開発が進みつつあるWi-Fi電波を活用した「Wi-Fiセンシング」にも言及。転倒の検知などを可能にする新たな仕組みは見守りに適していることから会場の関心が集まり、具体的な運用を巡る質問も相次いだ。

 影山社長は「高齢者は未来の自分」と訴えた。住宅確保要配慮者を受け入れることで補助制度も活用できる。人口減少が進む中で、1都3県以外の地方都市は空き家が増加すると賃料下落の危機を招く。需要が拡大する高齢者市場を避けるのではなく、戦略的に取り込むことが、これからの賃貸経営の鍵となりそうだ。

コシガタリとは 川崎市で賃貸経営を行う越水オーナーが主催するセミナー。不動産業界にとどまらず、各業界のキーマンが登壇する「不動産エンターテインメント」として2015年から開催。


(2026年7月号掲載)

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