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社会貢献にもなる使い道 大事な土地を売らずに活用
所有する土地をどう生かすか。ある程度広い土地ならば高齢者向けの施設・住居も選択肢に挙がるだろう。収益性に加え、社会貢献性の高い事業を自身のエリアに誘致できる満足度が高いからだ。高齢者向けの施設といっても、運営事業者ごとに特色がある。今回は、SOMPOケアの事業と土地活用を取り上げる。

SOMPOケア(東京都品川区)
- マーケティング部 特命部長 西田 努氏
- マーケティング部 不動産室室長 坂本 崇氏
所有地の使い方に困っているけれど、大事な土地だから、売却して現金にはしたくないと考えるオーナーもいると思います。
介護施設は、誰が見てもいい土地の使い方ではないでしょうか。
今はいろいろな選択肢が増えている。その1つとして介護施設を考えてみてもらいたいです。
運営戸数業界ナンバーワン
SOMPOケアは、高齢者向け住宅・施設業界でナンバーワンの規模を誇る。住居・施設のシニアリビング事業と、在宅介護、通所介護を合わせた同社の売上高は年間1600億円。高齢者の人口が増加している環境下で、業績は順調に伸びている。
シニアリビング事業の中でも、同社が多く取り扱うのが介護付き有料老人ホーム(以下、介護付き)とサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)だ。運営施設数は介護付きが約300施設(定員約1万8000人)、サ高住が約150棟(定員約9000人)となっている。
介護付き、サ高住いずれでも「ラヴィーレ」シリーズと「そんぽの家」シリーズを展開している。ラヴィーレシリーズは高級なライン、そんぽの家シリーズは比較的リーズナブルな費用感となる。入居者の支払金額の目安はラヴィーレシリーズが月額30万円程度、そんぽの家シリーズが同20万円程度だという。
入居率は全体の平均で90%以上だ。
「リーズナブルな施設ほど人気が高い傾向にあります。立地が良ければ常に満室でキャンセル待ちというケースもかなり多いです。一方、地方で若干の空室が出ているケースもありますが、それでも経営が成り立つことを見越して展開しています」(西田氏)
賃料は介護付き・サ高住で同額
不動産オーナーが気になるのは、オーナー側の収益面だろう。同社の最大の特徴が、その土地に建てられるのが介護付きかサ高住かにかかわらず、同額の賃料を示すことだという。
介護付きであれば介護保険の適用になることから、施設としての売上額は大きくなる。さらに運営面の効率化や介護スタッフの人材教育により、利益率も以前より上がってきているという。
「今、利益『率』で見れば介護付きとサ高住は同じくらい。そのため、売り上げ規模の大きい介護付きのほうがおのずと利益額は高くなります」(西田氏)
だが、介護付きを開設するためには「特定施設」として指定されなければならない。
- 高級分譲マンション品質の居室・共用空間で安心の介護体制を提供する「ラヴィーレレジデンス」
「自治体から指定を受けることができるのか、はっきりするまでに半年から1年ほどの期間がかかります。いい土地・いい建物をスピーディーに獲得するためには待っていられません」(坂本氏)
その点、サ高住は登録制だ。〝どちらの用途でも同じ金額で建物を借りる〟と示して不動産オーナーと契約することで、いい土地を素早く押さえている。オーナー側から見れば、特定施設の指定を受けられるかやきもきせずに済む点、指定を受けられなくても特定施設並みの賃料を提示してもらえる点でメリットが大きい。
一棟借り上げが9割
同社の場合、施設は基本的に新築する。オーナーが建てた物件を同社が一棟借り上げている場合が約9割、土地を借りたり購入したりして同社が建物を造るケースが約1割となっている。
オーナーが建てる場合は普通借家契約を結ぶ。「新築に際してほとんどのケースでオーナーは借り入れを行います。返済期間との関係もあり、契約期間は20年から30年とすることが多いです」(坂本氏)
また土地を借りて同社が建てるケースもある。この場合、オーナーとは30年の普通借地契約または50年の定期借地契約を結ぶ。いずれのケースも空室に左右されずに当初契約した賃借料がオーナーに支払われる仕組みとなっている。
同社の基準に沿った建物を造るが、特徴的なのは全戸に浴室があることと、居室の広さが28㎡以上であることだ。新築時の利回りはケース・バイ・ケースだが、新築マンションと遜色ないのではないかと同社は考えている。
「同じ土地で、オーナーがマンションにするか当社施設にするか悩むケースもあります。当社を選んでもらうことも、そうでないこともあるので、収益面で大きな差はないのではないかと思います。途中で介護事業をやめてしまったら建物はどうするのかが懸念点かもしれませんが、当社は大手資本であることに加えて事業継続のための努力を続けており、その点は安心してもらえるのではないでしょうか」(坂本氏)
好立地なら300坪でも可
どんな土地が高齢者向け施設に向いているのか。同社は競合他社より居室面積の広い28㎡、戸数規模も60~80室規模と多めの設定を標準としている。
「規模が大きいと運営面で合理的な配置がしやすい点がメリット。大規模施設ほど利益率を高めることができるのです。建築の面でも、戸数が多いほうが1戸あたりの建築費も下げられるのではないかと考えます」(西田氏)
こういった理由から、土地面積は500~600坪、延べ床面積で1200坪程度が望ましいと同社は考えている。最近は、従来以上のスケールメリットを狙い、100室超の施設も検討しているという。立地は、高齢者が住みやすい住宅街で、職員確保のため駅から徒歩15分圏内が目安だ。
「ただ、特に東京都心でこの広さの土地はなかなかありません。賃料設定との兼ね合いで事業が成り立てば進出しているのが実情です。狭い土地としては300坪程度でも実現した例があります」(坂本氏)
エリアは、人口減少のリスクが低い都市部である東京、大阪、名古屋、札幌などを基本としているが、収益性・持続性が確保できればそのほかのエリアでも検討の俎上に乗るという。
何が違うの? 有料老人ホームとサ高住
| 高齢者向け住居の選択肢として挙げられる有料老人ホーム(介護付き・住宅型)とサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は一見すると似ているが、制度上は明確に違いがある。そのうえ、運営する事業者の方針により施設ごとの特徴は大きく異なるため、よく調べたうえで委託する事業者を選定することが大切だ。 |
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特定施設入居者生活介護(特定施設)とは
介護保険法に定められた基準を満たし、自治体から事業指定を受けた施設のこと。介護付き有料老人ホームのように「介護付き」と名乗ることができるのは、この特定施設のみ。この指定は自治体ごとに施設数が制限されているため、基準を満たしていても特定施設として指定されないことがある。その場合は住宅型有料老人ホームとして運営し、後から特定施設の指定を受けて、介護付きに種別を変更するというケースもある。
(2026年7月号掲載)







