<<駐車場経営の盲点>> 第2回
駐車場の経営は、ひとくくりにまとめられるテーマではない。地主・家主にとって大切なのは、駐車場の特性を理解したうえで、自分の土地や建物に合った形をそれぞれ考えることだ。今回は、駐車場の主な種類とその違いを整理したい。
役割や収益構造を理解する
前回は、駐車場を単なる空き地活用や副収入の手段としてだけでなく、不動産経営の一部として見直す必要があることを述べた。では実際に、地主・家主が向き合う「駐車場」にはどのような種類があるのだろうか。それを曖昧にしたままでは、何を基準に選び、どう評価すべきかも見えにくい。(図1参照)

まず身近なのは月極駐車場だろう。月極の特徴は、利用者が比較的長期間契約し、毎月一定の賃料収入が見込める点にある。住宅地など、継続利用の需要がある場所と相性が良く、収益の大きな伸びは起きにくい一方で、稼働が安定すれば見通しを立てやすい。 地主・家主にとっての主な関心事は、賃料水準、稼働率、契約管理、滞納や解約への対応といった点になる。いわば、安定性を重視する駐車場経営である。
これに対してコインパーキングは、時間貸しによって収益を上げる仕組みだ。駅近や商業地など、短時間利用の需要がある場所では大きな力を発揮することがある一方、需要の波や周辺競合、料金設定の影響を受けやすい。月極に比べると変動が大きく、立地の見極めがより重要になる。
オーナーが見るべき点は、単に「収益が出そうか」だけではない。どのような契約方式なのか、借り上げか委託かに加え、初期投資額、精算方法、収益分配の考え方といった条件面も含めて検討する必要がある。
賃貸住宅の付帯駐車場は、月極やコインパーキングとは主な目的が異なる。もちろん利用料収入が発生する場合もあるが、中心となる役割は、入居者の利便性を支え、物件の競争力を保つことにある。地方や郊外では、駐車場がなければ選ばれにくい物件も多い。都市部であっても、車を使う世帯や来客対応を重視する入居者は一定数いるため、付帯駐車場の質が物件全体の評価にも影響する。この駐車場において大切なのは、単体収益だけでなく、駐車のしやすさ、防犯性、契約手続きのスムーズさ、来客用スペースの配置など、入居者にとっての利便性である。
さらに、店舗やクリニック、事業用不動産、複合施設などに付帯する来客用駐車場であれば、より本体施設との結び付きが強い。主役は駐車場そのものではなく、あくまで店舗や施設である。
そのため、このタイプの駐車場は「単独でいくら稼ぐか」より、「施設を使いやすくしているか」「利用者のストレスを減らしているか」「本体施設の魅力を高めているか」が重要になる。入りやすいか、止めやすいか、案内がわかりやすいか、利用ルールが過度に複雑でないか。そうした点が、施設全体の印象や利用頻度に影響してくる。

▲付帯駐車場は入居率に影響する
何を目的とした駐車場なのか
ここで見えてくるのは、同じ「駐車場」でも、経営上の主目的が違うということである。月極は安定収入、コインパーキングは時間貸しによる収益化、賃貸住宅の付帯駐車場は入居率や利便性の向上、来客用駐車場は本体施設の価値向上と利用促進。この違いを整理せずに「駐車場だから同じ」と考えてしまうと、本来重視すべき点を見誤りやすい。
例えば、来客用駐車場を月極駐車場の感覚で見れば、単体収益が少ないから価値が低いと判断してしまうかもしれない。だが実際には、その駐車場があることで店舗やクリニックが選ばれ、結果として本体不動産の価値を支えている場合がある。
反対に、月極駐車場なのに「とりあえず埋まっていればいい」ということだけ考えていると、賃料水準の見直しや契約管理の改善余地を見逃していることもある。
地主・家主にとって重要なのは、自分の所有地や建物において、その駐車場が何のために存在しているのかを明確にすることだ。単独で収益を生むためなのか、本体不動産を支えるためなのか、将来の転用を見据えた暫定活用なのか。この位置付けがはっきりすれば、見るべき指標も、導入や改善の方向性も自然と変わってくる。(図2参照)
駐車場経営で失敗しやすいのは「種類の違う駐車場を、同じ物差しで見てしまうこと」である。まずは分類を正しく理解し、それぞれの役割に応じた見方を持つこと。それが、不動産活用としての駐車場経営の第1歩になる。

ピットデザイン(東京都千代田区)
岡田 英明 社長
東京大学工学部卒業。交通工学を学び、リクルート、ザイマックスグループ、レーサムの経営を経て現職。交通と不動産のプロパティマネジメントの双方にまたがる知見を基盤に、駐車場運営の高度化、来館導線設計、施設収益向上、管理品質向上に取り組んでいる。
(2026年9月号掲載)






