学問と実務をつないで知見の好循環をつくる ―日本不動産学会

賃貸経営ストーリー

<<Focus〜この人に聞く〜>>

学問と実務をつないで知見の好循環をつくる
11代目会長は若い世代と地方に注目

 公益社団法人日本不動産学会は、1984年に設立された不動産に関する研究を行う学会だ。発表や学会誌の作成、優れた活動の表彰などを行う。一般的な学会と異なり、学者だけでなく弁護士や税理士といった士業、国土交通省をはじめとした行政、不動産事業者など実務家が広く参加するのが特徴だ。このほど、吉田修平法律事務所の吉田修平弁護士が11代目会長に就任した。今後の同学会の方向性を聞いた。

日本不動産学会(東京都千代田区)
吉田修平会長


――日本不動産学会の役割は。


 学会は、実務家も含めて関係者が一堂に会し、その時々の重要なテーマを深く議論する場という機能を持っています。そこで深めた議論が、まちづくりの在り方や立法に影響を与えることもありました。広い分野で総合的に不動産業界の質を高めていく一翼を担っていると考えます。他者の優れた取り組みを知る機会は、自身の事業や活動に好影響を与えます。

――11代目の会長に選出されました。


 大学教授が会長を務めることが多い会ですが、今回実務家である私が会長就任のお話を頂きました。これも何かの縁、実務家としての立場を生かし、学会の設立精神である学際的最先端研究の継続と、社会貢献を実現したいと考えています。法律をはじめとする学問的な知識については大学教授のほうが詳しいですが、現場のことは不動産業界の人が知っている。日頃関わりの少ない職種同士をつなぐことが、私ならではの役割の一つでしょう。

――会長として成し遂げたいことは。

私たちが活動することで、とにかく世の中の役に立ちたい。当初300人弱だった会員も、今は620人に増え、全国各地にいます。“会長”だからトップダウンで何かをするというのではなく、私は情報調整役として、多様な意見を吸い上げて全体を活性化させたいです。特に、若手と地方に注目しています。

――若手と地方がキーとなるのですね。

 どうしても議論は東京中心になりがちです。全国の多様な人材が情報発信できるようになれば、地方に眠っている有能な人材を掘り起こせます。同時に、若手に活躍の場があれば、業界に関わる人や知識の新陳代謝を促せるでしょう。全国から現場の声を拾い上げ、それを学術研究や政策提言につなげていけば、地方から中央へ、中央から地方へと知見が行き来する双方向の好循環を創出できると思います。(五林麻美)

吉田修平会長プロフィール
早稲田大学法学部卒業。第一東京弁護士会所属。定期借家権・終身借家権の立法に関与した。外部活動として、日本不動産学会(会長)、日本相続学会(副会長)、早稲田大学エクステンションセンターオープンカレッジ講師等、他多数。著書に、『2016年改正 新しいマンション標準管理規約』(有斐閣・共著)、『民法改正と不動産取引』(金融財政事情研究会)、『不動産相続の法律相談』(青林書院・吉田修平法律事務所編)、『所有者不明土地の法律実務』(プログレス)、『マンションの「老い」』(金融財政事情研究会)、「Q&A所有者不明土地の法律相談」(プログレス)等、他多数。

(2026年9月号掲載)

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