築60年の空きビルを「稼ぐ不動産」へ ―オドラナ

賃貸経営不動産再生

<<既存ストックを生かす>>

オフィスの開業から運営まで一括対応
築60年の空きビルを「稼ぐ不動産」へ

「フレキシブルオフィス」という新たな手法で、築年数の経過したオフィスビルを高収益物件に再生する支援を行っているのがオドラナ(大阪市)だ。スペースを細分化することで多様なテナント需要を獲得。独自の管理システムも活用し、空きの目立ち始めたビルの稼働率を高めている。

▲1963年築の東京・六本木のビル外観

オドラナ
細野 耕平 CEO

内装提案にとどまらず 事業計画策定、集客も支援

 フレキシブルオフィスとは、シェアオフィスやレンタルオフィス、コワーキングスペースなどを組み合わせ、柔軟な契約形態で提供するオフィスの総称だ。同社はこれらのオフィスの開業支援から運営、ウェブ管理システム「odorana」の提供までを一貫して手がける。

 同社の特徴について細野耕平CEOは「業務支援システムを核としながら、内装提案も交えて収益が最大化する事業を設計する点にある」と話す。市場調査や事業計画の策定から、収支シミュレーション、レイアウト設計、開業準備、集客、運営までをワンストップで支援。専有個室やコワーキングスペース、バーチャルオフィス、貸し会議室などをどのような割合で配置すれば最も収益が高まるかを分析し、物件ごとに最適なプランを提案している。

 事例の一つが、東京・六本木で運営する施設だ。1963年築で8階建てのこのビルは、2008年のリーマン・ショック以降、家賃低下が著しく、旧耐震基準であることから客付けにも苦労していたという。

 そこで6階の約70坪をフレキシブルオフィスに改修。8階には約40人を収容できるセミナールームを設けた。その結果、月間約200万円の売り上げを得られるようになった。

 細野CEOは「一般的な賃貸オフィスとして貸し出した場合の約2倍の売り上げを目標に設計している」と話す。

 

テナント構成を多様化 安定した収益基盤を構築

 ビルオーナーにとってのメリットは、空室が埋まることだけではない。従来は1社へ一括で貸していたスペースを細分化することで、小規模事業者やスタートアップ、フリーランスなど幅広い需要を取り込めるようになる。テナント構成が多様化するため、1社の退去による収益への影響も抑えやすい。さらに一般賃貸では収益化が難しかった共用部や空きスペースも、会議室やコワーキングスペースとして活用することができる。

 さらに近年、同社の事業は、オフィスの自社運営から、システム提供とパートナー事業を組み合わせたストック型モデルへ移行している。フレキシブルオフィスの運営に必要な運営管理システムを月額2万円(税別)から提供するほか、ブランド利用や開業・運営支援を行うパートナー契約では施設売り上げに応じてロイヤルティーとして受領する。自社で物件を保有せず、システム利用料と継続的なロイヤルティーを積み上げることで、安定した収益基盤を構築している。

 現在は六本木のほか大阪・谷町、千葉・船橋を加えた3拠点でオフィスを運営する。加えて、京都や北海道・苫小牧ではパートナー方式で施設運営を支援。運営管理システムは約30社・80施設へ提供している。ビルオーナーは運営ノウハウがなくても事業に参入することができる。

 今後はビルを所有する不動産オーナーを中心に、大学や自治体、オフィスの中に余剰スペースを抱える企業への提案も強化する方針だ。オフィス需要が変化する中、フレキシブルオフィスは既存ビルの価値を引き上げる新たな選択肢となりそうだ。

▲千葉・船橋(左)と大阪・谷町(右)のビルの改修事例

(2026年10月号掲載)

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