二つの商品で都市部と郊外の土地活用を提案
空間ソリューション事業を手がけるフィル・カンパニー(東京都中央区)は、駐車場の上部空間を活用する「フィル・パーク」と、ガレージ付き賃貸住宅「プレミアムガレージハウス」を提供している。
フィル・カンパニー(東京都中央区)
金子麻理社長
収益性から逆算し建物設計に反映
▲駐車場の上部空間を生かすフィル・パーク
フィル・パークは、都市部の商業地における土地活用商品だ。1階を駐車場とし、その上部に建物を建ててテナントを誘致して賃料収入を得るもの。対象となる土地は、メイン通りから1本入った裏通りだ。これまではコインパーキング以外の活用が難しかった土地に着目し、土地の特性やオーナーの希望に沿ったオーダーメードの企画で収益化を図る。
同社の強みは、テナントのリーシングを重視する点にもある。企画の段階からテナントニーズを徹底的に調査。適正な賃料設定や収益性を熟慮し、そこから逆算して建物の設計に落とし込む。
表通りでも空中店舗の集客は難しいが、裏通りではなおさらだ。そのため、全面を窓にして店舗の視認性を高めたり、階段の位置を調整して店舗に入りやすくしたりなどの設計上の工夫を施す。一定条件の下、テナントの誘致を保証するほど、リーシングには自信と責任を持っている。
竣工後の管理にも力を入れていく。昨今は活用する土地が広くなっている傾向にあり、建物自体もこれまで主流だった3階建てから、4~5階建ての案件が増えつつある。エレベーターを付帯するケースも増えるなど、建築後のメンテナンスは重要度を増していることから、オーナーの賃貸経営を管理面からもサポートする。
2019年に合併・買収した事業であるプレミアムガレージハウスは、新型コロナウイルス下で在宅時間が増加し、趣味を楽しめる住空間の関心が高まったことで堅調な伸びを見せている。23年8月末時点の供給戸数は548戸で、年間20棟ペースで提供している。入居率は95・4%(24年2月1日時点)と好調で、7200人以上が入居待ちの状態だ。
同社は、1月に発表した中期経営計画の一つに事業ポートフォリオの変革を掲げる。具体的な取り組みとして、「フィルまちづくりファンディング」の名称で不動産クラウドファンディングプラットフォームの運営を開始した。地域経済の成長促進のため、必要な不動産を安定的に保有する仕組みを提供していく。
金子麻理社長は「既存事業を強化しながら新しい領域に挑戦し、会社の持続的な成長を実現していきたい」と今後の方針を語る。
▲ガレージハウスは駅から遠い立地でも集客が見込める
(2024年6月号掲載)
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