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築古物件を積極購入 大規模リノベで入居率を大幅改善
奥村和樹オーナー(香川県高松市)は、2013年に父親から賃貸経営を引き継いだ。当時、所有戸数は180戸程度だったが、奥村オーナーに代替わりしてから借り入れを活用して戸数を増やし、現在は香川県高松市や坂出市、丸亀市で474戸を所有する。
奥村和樹オーナー(49)
(香川県高松市)
これまで力を入れてきたのが、購入した築古物件のリノベーションだ。奥村オーナーは「約150戸をリノベしてきました」と語る。とりわけ、「やるからにはちぐはぐにするのではなく、外壁や共用部なども含めて一体的に進めることを心がけました」と振り返る。
▲リノベ前
きっかけとなったのは、高松市の「こぐま団地」(全80戸)のリノベだ。建物は1972年に建てられた雇用促進住宅で、2016年に1億5000万円の融資で取得。当時、入居は8戸のみだった。
▲リノベ後
老朽化が目立っていたため、17~18年に空室のほか建物外壁と共用部のリノベを実施。すると、近くにある香川大学の医学部生などの入居が順調に決まり、満室になった。
このことが成功体験となった奥村オーナーは、19年に丸亀市にある1979年築の「青山ハイツ」(全71戸)をリノベした。2002年に1億円の融資で取得後、空室をすべてリフォームし、いったんは満室となっていたが、19年ごろに空室が20戸まで増えたため、リノベを決意した。このときは、外壁と共用部に手を加えただけでなく、オートロックも新たに導入した。現在、入居戸数は61戸になっている。
その後も、21年に高松市にある築54年の「こぐまマンション中野町」(全25戸)で外壁をリノベ。同じく高松市にある1988年築の「こぐまマンション田町」(住居9戸)では外壁と共用部をリノベし、オートロックを導入。2024年3月に工事が完了したばかりだ。こぐまマンション中野町は16戸あった空室が埋まり、こぐまマンション田町は、1戸しかなかった入居が8戸まで増えた。
賃料アップにも成功 こぐま団地は約2倍
リノベ案件が増えてきたのに合わせて、人手不足への対応とコストを抑えるために、21年からは大工、内装工、多能工の合計4人を正社員として雇っている。
リノベ前と後では、入居率が改善したほか、家賃も上がっている。こぐま団地では2万4000円が4万7000円に、青山ハイツは5万円が6万5000円に上がった。リノベ前に4万円だったこぐまマンション中野町では、7万円を超えた。
奥村オーナーによると、自身が賃貸経営をするエリアでは、建物が傷んでいるにもかかわらず、修繕もされないままになっている物件が少なくないという。「そういった中で、しっかりとリノベすれば、入居者に選んでもらえることがわかりました」と奥村オーナーは笑顔を見せる。
(2024年6月号掲載)
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