土地に特化した小口投資商品を販売 ―地主フィナンシャルアドバイザーズ

賃貸経営不動産小口化

<<投資新潮流>>

土地に特化した小口投資商品を販売
事業用定期借地を活用して安定収益図る

 地主フィナンシャルアドバイザーズは定期借地権を活用して独自の不動産金融商品「地主倶楽部」を販売している。地主倶楽部は、親会社で東証プライム上場企業の地主(東京都千代田区)が培ってきた底地専業20年超の知見を基に、2023年から始めた事業だ。土地を買う。土地を貸す。貸している土地を売る。そして投資家の資金を運用する─。同社のビジネスモデルはこの4つのステップで構成されている。

地主フィナンシャルアドバイザーズ(東京都千代田区)
榎本龍馬社長

安定した借地料に着目

 地主倶楽部は、テナント企業と長期の定期借地契約を締結することで安定的な借地料を受け取り、その借地料を原資とした分配金を同社が投資家に提供する商品だ。

 「建物を所有せず土地のみに投資することから、修繕費や改装費、災害対応など、不動産投資にまつわる多くのリスクを排除できる点が特徴です」と説明するのは、同社の榎本龍馬社長。

 定期借地契約は契約更新がなく、期間満了後は更地で返還されるため、地主は長期の安定収入と土地の確実な返還が見込める。定期借地契約には、一般定期借地契約と事業用定期借地契約があるが、同社が扱うのは、事業用定期借地契約の土地。専ら店舗、オフィスなどの事業用建物を建てる目的で、10年以上50年未満の期間、土地を貸し借りする契約だ。

 いわゆる〝底地貸し〟の長期的な定期借地契約であるため、利回りが変動することはほとんどない。また土地のみを貸す契約なので、建物の修繕費や設備更新などのコストもかからない。投資家からすると安定して確実な利回りが得られるという。

 「例えて言うのであれば、テナント企業の社債を買っているようなものです。しかし多くの人が不動産に定期借地権というものがあることすら知らないですし、土地だけでもうけようとしたら転売か駐車場くらいしか思い付きません。一般の人が知らないのも当然です」(榎本社長)

 同商品は1口10万円から投資が可能だ。プロ向けではなく純粋な資産運用という着眼点で組成しているため、少額からでも投資を始められるように設計したという。また中間的な手数料を排除した。販売・運営する同社の手数料をゼロとし、同社の収入は劣後出資している部分のリターンのみに限定。こうすることによって投資家との利益の方向性を一致させるようにした。

 「通常、他社がこういう商品をつくるとなると、アップフロントフィーやプレースメントフィーといったさまざまなフィーが発生します。しかし、当社が手数料を取らずに運用できるのは圧倒的な自信があるからです。当社ではそういったものを抜きにして、私たち自身がもうかる仕組みなのだから投資家にも相乗りしてもらおうという観点です。定期借地権という法制度を用いたこの商品が安定的であるため、実現できています」 

 こう榎本社長が自信を持って話すのは、親会社である地主が土地のみに投資し、これまで6000億円を超える規模で開発してきた実績があるからだ。

株主の声がきっかけで誕生

 元々地主グループでは「地主リート(地主プライベートリート投資法人)」という商品を運用している。地主リートは、私募リートであり、基本的に機関投資家を対象としているため、個人が購入することはできない。ただ、過去の株主総会の時に、個人株主から「個人は地主リートを買えないのか」という声があった。

 榎本社長は「長年不動産業界に携わる中で、不動産価格は市況によって大きく変動することを肌で感じてきました。こうした背景を踏まえ、マーケットの影響を比較的受けにくい底地を対象とした商品は、個人を中心とする一般投資家の資産運用においても、選択肢の一つになりうるだろうと考えました。不動産を裏付けとしたオルタナティブ商品で、当社が提供する底地のように安定するものはあまりないことも投資家にとって魅力的な商品だろうと思いました」と商品開発の経緯を話す。

 こうしていくつかの要素が重なり合って地主俱楽部を立ち上げることにした。

 26年4月現在、10案件を販売。投資家は40〜60代の男性が比較的多く、中でも50代が一番多い。手元資金に余裕がある人たちで、購入額の平均は100万円(10口)。中には1000万円以上投資する人もいるが、申込数が増えていることから1人あたりの購入口数は当初より減ってきている。ただ本来狙っていたマス層への拡大が進んでおり、リピーターは5〜6割を占める。

 唯一無二の投資商品ゆえに、最近では1450口が2日で完売したという。投資家は同社のシステムに登録して会員になることで投資が実行できる仕組みとなっている。

 原則はインカムによる運用だが、中には運用期間中に外部へ売却し、その売却益も配当の一部に回すという設計の「ハイブリッド」型もある。ただし、外部に提示している利回りはインカムの部分のみで計算している。ハイブリッド型は最後に売却利益が追加される可能性もあるという位置付けだ。

 仕入れる土地は原則、親会社と同じく転用が利くもので、契約しているテナントが退去した時に他社に貸せるもの、そして、更地になった時に売れるものだ。親会社が仕入れた土地を地主倶楽部の商品にするとグループ間で利益相反が生じるため、同社が独自に地主倶楽部のために仕入れている。特にエリアにはこだわっていない。

 「将来的には運用規模を500億円にしたいです。希望としては毎月1件ペースでリリースです。そのためにはまずは、より多くの方に地主倶楽部を知ってもらう事が重要と考えています。会員拡大に注力します」(榎本社長)

用語解説

アップフロントフィー
 貸し手の融資団に対して融資総額の一定比率で支払われる手数料

プレースメントフィー
 ファンド販売代理手数料

(2026年7月号掲載)

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