【特集】事前の対策で差がつく 高齢者の受け入れ方⑥

賃貸経営属性別入居者事情##IoT#高齢者#サービス#見守り

ヤマト運輸/クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン

IoTと人による見守りで素早く察知

 ヤマト運輸(東京都中央区)が提供する「クロネコ見守りサービス ハローライト訪問プラン」。同社が取り扱う専用のIoT電球「Hello Light(ハローライト)」を使用し、前日午前9時から当日午前8時59分までに電球のオン・オフの切り替えがなかった場合、事前に登録した通知先にメールで知らせる仕組みとなっている。さらにサービスセンターに依頼があれば同社営業所のスタッフが代理で訪問し、インターホンを鳴らしたり郵便物の確認をしたりする。費用は月額で1078円(税込み)。

 これまで累計で約1万3000件の申し込みがある。契約数は都市部が多いが、エリア別に見た高齢者の契約割合は、北海道、東北地方が高くなっている。「親が遠くに住み、簡単に見に行けない子ども世代からの契約が多いです。賃貸経営では独居高齢者の入居の促進やリスク低減に役立つと思います」と同社ネコサポ事業開発部ネコサポ事業推進課の中島達雄係長は話す。あらゆるエリアで配送を行う同社では、地域コミュニティーの希薄化と⾒守る側の⼈材不⾜や⾼齢化を地域の課題として捉えていた。各地に拠点がある強みを生かし、社会貢献もできる事業として21年6月にサービスを始めた。

 平均すると全国で1日100件の異常検知があり、月に15件ほど現地へ代理訪問するという。同課の春見萌氏は、「お⼿洗いや洗⾯所などの電球を交換するだけで利⽤できるので、導⼊のハードルが低く高齢者でも利⽤しやすいサービスです。⾒守る⼈、⾒守られる⼈双⽅の負担を軽減し、ちょうどよい距離感で⾒守ることができます」と話した。

▲電球を交換するだけで見守りスタート

IRIS(アイリス)/Mimamo(ミマモ)

セレクトショップ感覚で選んで見守り

IRIS(東京都港区)
荒川敏勝代表取締役(54)

 IRIS(アイリス:東京都港区)が提供する「選べるMimamo(ミマモ)」はいわばセレクトショップのようなもの。同社が提携する企業の見守りサービスを、自由に組み合わせて一度に契約ができる。提供元企業が異なる複数サービスを導入する場合でも契約時の負担が増えないことと、効果的な組み合わせを相談できるのが魅力だ。荒川敏勝代表取締役は、「1件でも多く孤独死を減らしたいです。死後3⽇以内に発⾒される件数は、全体のおよそ4割といわれています。3日以内の発見を8割程度にまで上げていきたいと思っています」と話す。

 見守りといえば高齢者をイメージするが、実際には40~50代でも自室内で病死するケースがある。若年層だからといって油断ならないのだ。

 同サービスでは、IoT電球、モーションセンサー、電気のスマートメーターから基本となる見守りサービスを選択(複数でも可)。さらにオプションで、万が一のときの賃貸契約解除に対応するサービスや、日々の医療相談のサービスなどを追加できる。「その中でもおすすめは電気のスマートメーターによる緩い見守りです。居室内に入らずとも導入可能で、見守られているほうにも“見られている感”が少ないメリットがあります」と荒川社長は話す。同サービスは、家主個人との契約も可能となっている。

(2024年9月号掲載)
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