ファミリーネット・ジャパン
空室対策に有効なネット無料サービス
賃貸住宅の入居促進や賃料アップに欠かせない設備となっているインターネット。ファミリーネット・ジャパン(東京都港区)ではこれまで、約57万3000戸の集合住宅にネットサービスを提供してきた。入居者満足度を高め、物件稼働率の向上に寄与している。
設備増強で速度遅延抑制 オーナー向けサイト開設
空室対策に有効な住宅設備として普及している無料ネットサービス。集合住宅の全戸に通信インフラを提供する全戸一括型ネットサービスは、新築物件に標準採用されることが多く、既存の物件でも付加価値を向上させる設備として導入が進む。
▲ネットを通じて、生活利便性を高めるサービスを展開する
東京電力グループのファミリーネット・ジャパンは、2012年より賃貸住宅向けのネット接続サービスを提供している。16年に賃貸向けのサービスブランドを「iのぞみネット」に統一。23年末時点で約57万3000戸への提供実績がある。
新型コロナウイルス禍による在宅率の高まりで急増したネット需要。その特需は落ち着いたものの、ネットコンテンツの視聴などによりデータ通信量は年々高まっている。同社では、通信量の増加に起因する通信トラブルを未然に防ぐため、自社保有の設備を使って大容量通信を実現するIPoE方式に切り替えるなどの設備増強を実施してきた。
通信インフラを活用したオプションサービスも提供する。入居者が無料で利用できる電子書籍読み放題サービスや、家電の遠隔操作が可能になるIoTサービスなどは物件の入居率向上に寄与するサービスとなっている。昨今では、防犯に対するオーナーや管理会社の関心の高まりから、防犯カメラとセットでのネットサービス提供も実績が増えつつある。
24年4月30日には、オーナー向けの専用サイト「のぞみオーナーズサイト」の提供を開始した。これにより物件ごとのネットの契約状況や支払い情報などを、オーナーが把握しやすくなった。オンラインでの契約締結や更新も可能になり、ペーパーレスによる手続きの簡略化に対応している。
エネルギーデータを管理 省エネ住宅の普及に寄与
賃貸住宅の脱炭素化を支援するサービスにも取り組む。その一つが、エネルギーの消費量を実質ゼロにするZEH―M(ゼロ・エネルギー・ハウス・マンション)において、世帯ごとのエネルギーの利用状況を管理会社に報告するものだ。
補助金でZEH―Mを開発したハウスメーカーや管理会社に課せられる、ZEH―M補助事業執行団体へのエネルギーデータの実務報告の負担を軽減する。iのぞみネットを介し、各住戸の分電盤に設置された電力センサーが取得した電力および都市ガスの利用データを、同社のデータセンターに連携。エネルギーの利用状況を棟および住戸単位で整理し、管理会社へ報告する。エネルギーデータの実務報告の負担を緩和することで、業界におけるZEH―Mの普及を図る。
(2024年9月号掲載)
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