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RC造中心に20棟200戸を展開
始まりは雑誌で見つけたコンテナ倉庫から
長谷川温オーナー(千葉県柏市)
千葉県柏市在住の長谷川温オーナーは、RC造マンションを中心に個人・法人合わせて約20棟・200戸超を保有する大規模家主だ。関東をメインに物件を保有しているが、遠くは岐阜県や山口県にまで展開。しかも、そのほとんどはここ7~8年の間に購入したり、新たに新築を建てたりするなどして増やしてきたものだ。

そんな華々しい実績を持つ長谷川オーナーだが、不動産投資はもちろんゼロからのスタートだった。そして意外にも、その原点は会社員としての給与をためてつくった300万円の自己資金で購入したコンテナ倉庫だったという。そこから築古戸建てや廃虚物件の再生に取り組んだりと、紆余うよ曲折を経たうえで今に至っている。
雑誌からの出合い
2000年代、会社員として働いていた長谷川オーナーは、当時ベストセラーになったロバート・キヨサキの「金持ち父さん 貧乏父さん」に触発されて株式投資を開始。その後、不動産にも手を広げることを決意した。 最初に選んだのは、賃貸住宅ではなくコンテナ倉庫だった。雑誌「BIGtomorrow」(青春出版社、現在休刊)の特集記事でコンテナ倉庫事業を知り、運営会社のマリンボックス(神奈川県藤沢市)に連絡を取った。そして08年、神奈川県小田原市で300万円のコンテナ倉庫を現金で購入したのが、不動産投資の第一歩だ。
「当時はコンテナ倉庫をやっている人がほとんどいませんでした。サブリースで利回り18〜20%が出ていた時代です」(長谷川オーナー)
融資が下りないため現金での購入となったが、初期投資額が小さく、サブリースで安定した収入が得られるコンテナ倉庫は、不動産投資の入り口として最適だったという。その後、13年ごろまでに神奈川県内で計4つのコンテナ倉庫を購入していった。総投資額は約2000万円で、この時点で年間収入はおよそ370万円となった。
コンテナ倉庫から住居へ
コンテナ倉庫で不動産投資の基礎を学んだ長谷川オーナーは、15年にレジデンスの投資へとかじを切った。最初の物件は埼玉県川口市の築古戸建て住宅。購入価格とセルフリフォーム費用を合わせて約500万円、最終的な利回りは約16%だった。現金で購入した後、日本政策金融公庫からバックファイナンスで融資を受けるという手法で、手元資金を回収しながら次の投資に備えた。

購入当初はサブリースでも利回りが約20%あったという
「川口市の物件は、住居投資と融資の練習でした」と長谷川オーナーは振り返る。この経験を経て次に購入したのが、長崎市にあるコンクリートブロック造(以下、CB造)の全6戸のマンションだ。
キノコが生える廃虚
16年に購入したこの物件は、推定20年以上にわたって放置されていた廃虚だったという。室内にはツタが侵入して伸び放題の状態で、キノコまで生えていた。窓ガラスは割れ、階段はさび、雨漏りもしていた。
「長崎なので、私の家からかなり遠いという懸念もありました。しかし価格は6戸で300万円。土地値以下だから損はしないだろうと判断し、購入を決めました」(長谷川オーナー)
だが、実際に購入してみると、リフォーム費用が想定以上に膨らんでしまった。当初の見積もりは約1100万円だったが、ふたを開けてみるとガス管の破裂をはじめ想定外の不具合が次々と発覚。最終的な修繕費用は1600万円と、予想の約5割も上振れしてしまったという。購入費と合わせた総投資額は結局1900万円に膨れ上がってしまった。「土地値以下だから…」と見込んで買った物件だったが、やはりそう甘くはなかった。
しかし改修の結果、見事満室にすることには成功。満室時の年間家賃収入は約290万円で利回りは約18%。長谷川オーナーはこの物件を17年に2750万円で売却。800万円以上の売却益を得ることができた。だが、費やした労力に対しては反省も多かったという。
「ダウンライトを付けるなど、リフォームに凝り過ぎました。安い賃料で貸す物件に過剰な設備は不要。今ならもっとコストを抑えた効率の良いリフォームができますね」(長谷川オーナー)
またスケルトンレベルまで解体して配管をすべて交換するような大規模工事が必要な物件は避けるべきだと、この経験から学んだという。

ダウンライトなどリフォームに凝り過ぎたという。この経験がこの後の投資に生かされた
RC造を軸に全国へ
長崎市の物件以降、長谷川オーナーはRC造の集合住宅を投資の主軸に据えた。コンテナ倉庫や戸建て、CB造マンションとさまざまな物件を経験する中で、RC造の耐久性と融資の受けやすさに着目したためだ。
ここからは順調に物件取得を進め、7~8年のうちに約20棟を購入。所有物件は全国に広がっていった。最近では、東京都内の墨田区押上エリアに新築RC造13戸、板橋区に新築RC造14戸と、新築物件の投資にも取り組んでいる。
長谷川オーナーは宅地建物取引業の免許を取得しており、物件の売買も自ら手がける。コンテナ倉庫はすべて売却。前述の長崎市の物件も短期で売却した。そうかと思えば、現在は小田原市に土地を1カ所保有し、コンテナ事業者に底地として貸し出すなど、複数のスタイルを柔軟に使い分ける経営が特徴だ。
「土地だけの貸し出しは手間がほとんどかかりません。複数の手法のメリットを組み合わせながらやっています」(長谷川オーナー)
コンテナ倉庫という異色のスタートから、全国にRC造物件を展開するまでに至った長谷川オーナー。約200戸にまで拡大したその不動産投資の歩みは、今も続いている。
(2026年 6月号掲載)






