広島|路面電車の新ルートで生まれる新たな住宅需要
豊田裕之オーナー

広島の街のシンボルである路面電車が、今後不動産市場に大きな地殻変動を起こしそうです。その起点となっているのが、JR広島駅の再開発に伴う広島電鉄駅前大橋線と、それを基軸とした新たな循環線の開業です。新ルートの開通や駅ビル2階への乗り入れによって、市街地エリアまでの所要時間や乗り換え時間の短縮が実現しました。
この交通結節点の強化は、単なる利便性の向上にとどまらず、不動産価値の再定義をもたらしています。第一の影響は、JR広島駅から市中心部につながる沿線エリアの再評価と地価上昇です。循環線の要衝となる的場町や稲荷町エリアでは開発ポテンシャルが一気に高まり、周辺ではマンション用地の取得競争が活発化。新築マンションや商業テナントビルの建設計画が相次いで地価を押し上げています。第二の影響は、市が目指す「コンパクトシティー化」の加速と、それに伴う資産価値の安定化です。循環線によって移動が容易になり、マイカーに依存しなくても快適に生活・消費ができるエリアが広がります。
今後は、職住近接や利便性を重視する共働き世帯や、都心回帰を望むアクティブシニア層の住宅需要が、循環線内側および沿線へと強力に引き寄せられそうです。
(2026年6月号掲載)






