<<不動産再生の達人>>
初期費用なしでフルリノベし収益化
相続によって受け継いだ不動産物件の取り扱いに悩んでいるオーナーは多い。家族の思いが詰まった物件を簡単に処分することはできず、かといって多額の投資により再生し、活用するのもためらわれる。ルーヴィスが展開する不動産活用サービス「カリアゲ」はそんなオーナーの悩みに寄り添い、資産の維持と最大化に貢献する。
ルーヴィス(横浜市)
原稔英社長

借り上げ期間は7~9年
古い物件を所有するオーナーにとって、ネックとなるのがリノベーション費用だ。ルーヴィスは、遊休不動産や老朽化が進んだ空き家に対し、オーナー負担ゼロで収益化を実現するカリアゲを提供している。主な顧客対象は、相続に伴う空き家の管理・活用に悩む不動産オーナー。リノベによって建物を再生し、一定期間借り上げる仕組みで展開する。
同社が11年前から手がけるこのカリアゲは、本来であれば解体や売却を検討せざるを得ない老朽化物件でも、資産としての延命ができる点が最大の特徴だ。
同社が物件を借り上げたうえで、内装を中心としたリノベ工事を施し、相場の家賃に付加価値分を上乗せして貸し出す。借り上げ契約期間は平均7年から9年程度で、契約期間中は、家賃収入とリノベ工事費を相殺する。そのため、オーナーへ実際支払われるのは貸し出し家賃の1割程度。借り上げ契約期間中の収入は少ないものの、オーナーはコストを負担せずに、所有物件の再生・維持ができる。さらに借り上げ契約が終了した後は、満額で家賃を得られる仕組みだ。

カリアゲは、相続によって親から物件を受け継いだものの、売却すべきかリノベして活用すべきか判断に迷う40代〜50代の個人オーナーから支持されている。このため同社の原稔英社長は「カリアゲは、オーナー側のコスト負担をなくすだけでなく、意思決定の複雑さを解消することもできます」と話す。特に実家の相続については、遺族のいろいろな思いがあることから合意形成が難しい。こうしたケースにおいて、費用をかけずに維持できる同サービスを活用することによって、対応策を考える猶予期間をつくることが可能となる。
ビル再生にも活用
カリアゲの実績としては、これまで戸建てを中心に56棟の不動産を再生。主な対応エリアは1都3県で、約7割が東京都内、約2割が神奈川県・千葉県・埼玉県となっている。

築58年のビルをカリアゲで再生
主力である戸建てだけでなく、ビルの実績も4件ある。ビルは住宅と比較して収益性が大きいため、住宅と同様のスキームをベースにしつつ、より高い回収費用を投じて収益を最大化する運用を行っている。

はりや配管を露わにして天井高をとりつつ、木材を使用してやわらかい印象にした
例えば、東京都港区虎ノ門にある築58年の5階建てビルをカリアゲによって運営している。同物件は、地下1階と地上1階は昔から続く飲食店と印刷店で、2階以上のフロアが長らく空き家状態になっていたという。売却の話が何度もあったが、三世代にわたって維持してきたオーナー家族の同ビルへの思いから、どうにかそれ以外の活用方法がないかと模索していた。そんな時に、カリアゲを見つけて依頼することになったという。
今回工事をしたのは2〜5階と共用階段部分。最低限の設備を備えたオフィス仕様とし、内装は各階少しずつ雰囲気を変えた。その結果、募集開始から約6カ月で満室になった。
相続不動産の選択肢広げる
近年は、東京都の空き家活用支援事業などを活用し、子育て世帯へ物件を提供するプロジェクトも実施している。行政の支援制度を積極的に利用することで、初期導入のハードルを下げ、社会貢献性の高い事業として成立させている。例えば、築70年の木造戸建ては東京都の「政策課題解決型空き家活用支援事業」を活用し約400万円の補助金を受けた。総工費は1100万円だったが、補助金を利用できたことで、カリアゲの提供が可能となった案件だ。
- 工事前:コストを抑えてリニューアル
- 工事後
同社は今後、既存物件の長期的な維持管理上の課題にも目を向けつつ、不動産オーナーの多様な悩みに対して「複数の選択肢」を提示するパートナーとしての立ち位置を強固にしていく。
「オーナーは古い建物を今後どのようにしていくのか、特に相続した実家は家族間での合意形成が容易ではありません。そうした状況を踏まえて資産を単に維持するのではなく、資産価値の最大化を基準に『維持・活用』『売却』『買い替え』をオーナーへ提案する戦略を強化しています」(原社長)
同社では不動産実務者との情報交換を密に行い、オーナーの利益を最大化する最適なソリューションの提供に努めていく。
(2026年9月号掲載)








