- HOME
- コラム
- 永井ゆかりの刮目相待
- カスタマイズの大切さ
<永井ゆかりの刮目相待:7月号>
連載第106回 カスタマイズの大切さ
知識と情報の違い
有益な情報を収集するのは簡単ではない。それ以上に難しいのは、情報の取り扱いだ。私たちのようなメディアは情報を発信することを仕事としているが、「この情報はきっと役立つだろう」と考えて、読者や視聴者に情報を届けている。それだけに、発信する情報内容の精査は非常に重要である一方で、その情報を本当に役立ててもらえるかどうかはいつも不安でもある。
長年定期購読していただいている読者の方には感謝するとともに、情報源としてうまく本誌を活用いただいているのではないかと思っている。
うまく活用できている人はどんな人なのかを想像する。情報は入手するだけでは、意味がない。重要なのは入手したものをどう活用するかだ。
私はしばしばセミナーで講演をした後に言われることがある。「いろいろな成功事例を紹介していたが、その人だからこそできることが多くて、なかなかまねできない」と。そういう声を聞くたびに思うことは、ビジネスにおいて、他者が取り組んでうまくいっていることを、そっくりそのまままねることができるケースは多くないだろうということ。
情報と知識は違う。情報を受け取り、自身の経験、状況、信念と結び付けて解釈・理解したものが知識となる。つまり、知識とは行動につながる理解のこと。知識はビジネスや人生の節目に限らず、日常生活においても何かを決断する時に必要な武器になる。このように改めて知識とは何かを考えると、情報を知識に変える努力は重要だと強く感じる。
知行合一に努める
取材をしていると、他者が取り組んでいることを自分がやるならどのような形でできるのかを考えて、すぐに行動できる人に出会うことが多い。
例えば、地方都市のオーナーの取り組みとして、敷地内に入居者が共用できる脚立や自転車の空気入れ、バケツ、工具箱などを入れた物置を設置して入居者に喜ばれている事例を記事で紹介したことがあった。その記事を読んだ大都市圏のオーナーから、敷地内にスペースがないことからコンパクトな収納棚を設置して、エントランスの一角に最低限必要だと思うものを共用物として提供したという話を聞いた。
ビジネスの現場で、他者と全く同じ状態であることはない。限られた条件の中で、自分に合うようにやり方や環境を工夫して最適化すること、すなわちカスタマイズできるかどうかが重要になってくるのではないだろうか。裏を返せば、制限があるからこそ、他者にはない独自のノウハウやサービスなどが見つかるのだと思う。
知識があっても、それを実践に移さなければ、本当に理解したことにはならない。「知行合一」に努めることが、より良い結果に結び付くきっかけになるのではないか。自戒の念を込めて伝えたい。
永井ゆかり

Profile:東京都生まれ。日本女子大学卒業後、「亀岡大郎取材班グループ」に入社。リフォーム業界向け新聞、ベンチャー企業向け雑誌などの記者を経て、2003年1月「週刊全国賃貸住宅新聞」の編集デスク就任。翌年取締役に就任。現在「地主と家主」編集長。著書に「生涯現役で稼ぐ!サラリーマン家主入門」(プレジデント社)がある。
(2026年 7月号掲載)






