見た目だけでは判断できない中国美術

コラム眠っているお宝

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中国美術

 中国美術品は、思いがけない場所に眠っていることが少なくない。その背景には、日本と中国の交流の歴史がある。

 遣隋使の時代から、文化や工芸品が日本に伝来した。それ以降も江戸期の交易やバブル期の流入など、さまざまな経路で中国美術は日本にもたらされてきた。古美術品や骨董品の販売・買い取り、オークション代行をするサイト「古美術買取 良」などを運営する地新の稲垣良介代表は「古代から日本と中国との関係は深く、個人間でも物の行き来が続いてきました。そのため、中国の美術品は一般家庭にも残っている可能性は高いのです」と話す。

 稲垣代表が出張買い取りに訪れた平屋の集合住宅で、明時代の仏像が見つかったことがある。依頼主の祖父がかつて中国旅行の際に購入したもので、一般家庭から見つかるとは想像できないほどの価値があるものだった。「うちはお金持ちではないし価値のあるものはないだろう、と思い込まないほうがいい例でした」(稲垣代表)

 中国美術は長い歴史を持つ。周や漢の時代の青銅器や陶磁器から、明・清の宮廷文化を背景にした工芸品まで幅広く、皇帝の命で作られた品には当時の最高技術が注ぎ込まれている。また文化大革命の影響で中国に残る美術品や資料の多くが失われたため、日本に現存する品の価値が相対的に高まっている側面もある。

▲中国・江蘇省宜興市で作られる「紫砂壺」。使えば使うほど味わいが出る急須で、作家物なら数十万円の値が付くこともある

安易に手放さず専門家へ相談を

 現在の骨董市場では中国人バイヤーの存在が大きく、オークション参加者の3〜4割を占めることもある。ただし価値は古さのみで決まるわけではない。

 「今は美しさや状態、希少性、現代人の嗜好に合うかどうかが重視されます」と稲垣代表は話す。数千万円で取引される品がある一方で、同じ時代の物でも評価されない場合があるのだという。また、かつて安価で購入された掛け軸や道具類が、数百万円の査定額になることもある。特に日本の茶、書の起源は中国から日本に渡ってきたのが始まりだといわれており、茶器や硯、墨などは日本の家庭に残っている可能性が高い。

 注意したいのは、こうした品の価値が見過ごされてしまうケースだ。中国美術に詳しい買い取り事業者でないと、正しく査定されないこともある。「中国美術は、見た目だけでは判断ができません。こんなものに価値があるのだろうかと思っても、知識のある専門家に見せて相談してほしいです」(稲垣代表)

 

お話を聞いた鑑定のプロ

地新(横浜市)
稲垣良介代表

20歳で美術・骨董業界に入り、業界歴は20年以上。中国美術に造詣が深く、「ユーチューブ」で美術品・骨董品の見方の解説もしている。

■店舗情報

2009年設立。古美術品・骨董品を競り合う「BOARオークション」や販売・買い取りを行うサイト、店舗を運営。

(2026年8月号掲載)

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