元気なうちに親から話をしよう
納得のいく相続を会話で目指す
親から相続の話をする
皆さまこんにちは。心理カウンセラーの佐藤栄子です。
今回から「相続について話す」がテーマになります。まず初めに、「自分の子どもと話す」ことについて取り上げます。
皆さまは今まで相続について、直接子どもと話し合ったことがあるでしょうか。必要性は感じていても、自身の死後の話をするのはなんとなく縁起が悪いようでちゅうちょしている…という人もいるのではないでしょうか。
子ども世代の人のカウンセリングで相続の話になると、「自分から親には切り出しづらい」とそろって口にします。その中には勇気を持って話してみたところ、「親に早く死んでほしいのか」と怒鳴られてしまったというケースもありました。
相続させる側としていろいろ思うところはあるかもしれませんが、元気なうちに、自身のほうから子どもに相続の話を切り出すことをおすすめします。遺言書を残す予定であっても、相続に対する自分の考えを直接話し、また子どもの思いを聞くという機会を設けたほうが、後に「争続」に発展するリスクを避けることができると思います。
差はつけずよく話し合う
親から話す際のポイントとしては「平等性」があります。
子どもが何人かいる場合、長男だから多くを受け継がせるとか、結婚した娘に対し「もう別の家の人間だから」と残すものを減らすというように、最初から差をつける前提で話をするのはおすすめしません。
子どもは生まれる順番や性別を自分では選べません。そういった要素や、現在の経済状態などで相続財産を分けるのは、親からの愛情にも差があるように感じてしまいます。実際には完全に平等に分けるのは難しいかもしれませんが、まずは分け隔てなく相続させたいという親の思いがあることを伝えましょう。そして最終的に全員が納得できるようにおのおのと話し合ったほうが、相続時のトラブルを避けられます。
同時に、相続財産に対する子どもの思いを確認することも大切です。
例えば「実家のある地域に住む予定は今後ないため不動産より動産を受け継ぎたい」など、本人の希望する相続の形を聞いておくことで、より有効に資産を残すことができます。
相続関係は金銭が絡むため話しづらいものですが、会話することが親子の絆を確認し、結び直すきっかけになればいいなと思います。
佐藤 栄子プロフィール
不動産会社で約20年、主に秘書業務を担当。退職後、心理学を学ぶ。現在はインターネット総合サイト「exicite(エキサイト)」を含む3社で電話とメールによる心理カウンセリングや、離れて暮らす親子がつながるための情報サイト「親子ネクト」でコラムの執筆を行う。
(2024年8月号掲載)
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