あるある!田舎相続
財産目録作成がもめない相続のための第一歩
─現在、相続に関する依頼を年間何件ぐらい受けていますか。
年間100件以上の相続や遺言に関連する業務を受託しています。相続に強い専門家としての知名度が上がってきたこともあり、口コミや依頼者自身が調べて相談に来るケースが多いのが特徴です。
─地方の不動産は活用しにくく、相続で困ったという話を聞きます。
手間とコストがかかるため活用事例はそれほど多くはないものの、一見活用しにくそうな不動産でも、調べてみたら活用できたケースはあります。逆に評価の高い土地だと思っていたら、違っていたということもあるので要注意です。
─相続した不動産を活用したい場合、何をしたらいいですか。
地域の特性やニーズ、修繕にかかる費用などを事前に考えておく必要があります。ある程度人流が見込める地域であればビジネスにつながる可能性は高いのですが、相続発生後はスケジュールに余裕がなく、活用を検討せずに手放してしまうケースは多いです。
─相続税対策として賃貸住宅を建設する話をよく耳にします。
賃貸住宅を建設する際には節税だけでなく、納税資金対策、「争族」対策としても有効かどうかを考えてほしいです。たとえ収益性の高い物件であっても、相続人に均等に分けるために売却せざるを得ないことがあります。不動産は、残す側がどのように継いでもらうのかを考えておくと後々もめるリスクが減ります。それを伝えるために作るのが遺言書なのです。
─相続した不動産でもめないためには遺言書が必ず必要ですか。
遺言書を用意しておくのが最善ですが、難しければ、まず財産目録を作るといいです。遠い場所にある土地や共有名義の不動産が出てくるかもしれません。すると、家系図も作りたくなります。財産と親族を可視化できると遺言書が作りやすくなるでしょう。財産目録と家系図だけでも、残された配偶者や子どもの大きな助けになるはずです。
─相続人が都市部に出てきていると問題はさらに大きくなります。
地方の不動産を相続したが、その扱いや相談先に悩む東京都内在住者は多いです。そこで、9月に田舎相続不動産という相続不動産の売却や活用をお手伝いするための会社を東京都新宿区に設立しました。これからも都市部と地方をつなぎ、相続で笑顔を失う人を一人でも減らしたいです。
著者:澤井修司
出版社:日刊現代
価格:1650円(税込み)
概要
相続でもめるのは、都市部に住む人や資産家だけではない。相続は財産や家族関係、それぞれの思いなど、多くの要素が複雑に絡み合うが、人や土地のしがらみが多い田舎には特有の難しさがある。司法書士、行政書士、さらに宅地建物取引士の資格を持ち、相続や不動産を多く扱う著者が、田舎の相続においてよくある事例を挙げて、困らないための方法をわかりやすく解説する。
著者プロフィール
澤井修司(さわい・しゅうじ)
(2024年11月号掲載)
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