【連載】家主の賢いキャッシュフロー改善:7月号

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税金を抑える
~支出を伴わない控除 給与所得控除~

 キャッシュフローを改善するためには、①収入を上げる②支出を下げる③税金を抑える、この3つしかありません。前回に続き、③の税金を抑える方法を解説します。

給与額によって変わる負担

 前回は給与所得控除の最低保障額について説明しました。今回は、給与所得控除を踏まえて、専従者給与をいくらに設定すればいいのかを解説していきます。

 「専従者給与の金額の考え方(売り上げの何%など)はありますか」という質問をよく受けますが、まず大前提として「売り上げの何%まで」といった法定の上限は存在しません。税務署に届出書を提出して「労務の対価として相当である」と認められる金額であれば、いくらでも設定可能です。

 実務的には、業務の内容・規模を踏まえて「第三者を雇ったら支払うであろう金額」を基に判断するのが基本です。パート勤務のような業務であれば低めに、フルタイム相当ならそれなりの金額に、という考え方です。

 しかし、専従者自身の税金や社会保険料を考慮しないと余計な支出が発生してしまうことになります。そこで、実務上の目安となる金額を示しておきます。

●月6万円
 給与所得控除の最低保障額が74万円なので、年72万円(月6万円×12カ月)以下なら、ほかに給与がなければ給与所得はゼロになります。所得税も住民税もかからず、税負担を増やしたくないケース(年金受給中の親を専従者にするなど)で有効です。

●月10万円
 2026年1月から、源泉徴収が必要になるラインが「月8万8000円以上」から「月10万5000円以上」に引き上げられました(扶養控除等申告書の提出がある場合)。月10万円であれば源泉徴収手続きが不要になり、毎月の税額計算や納付書の作成・納付といった事務負担を減らすことができます。また年収119万円(月額約9万9000円)以下であれば住民税も非課税です。

●月10万8000円
 社会保険(健康保険)の扶養の壁である「年130万円」の目安です。会社員の配偶者などを専従者にする場合、この金額を超えると扶養から外れ、本人が国民健康保険・国民年金に加入することになります。

●月14万8000円
 26年・27年の時限措置を踏まえた「所得税の年収の壁(178万円)」の目安です。この金額までは所得税がかかりません。ただし、住民税と源泉徴収は発生します。

●月20万円程度
 フルタイム相当の業務であれば、第三者を雇った場合の相場として月20万円程度までは不自然ではありません。ただし、社会保険の扶養から外れることには留意してください。

 給与の金額設定は、税金・社会保険・事務負担の3つを見比べて決めるものです。


 とりわけ事務負担を減らしたい個人の大家さんにとっては、社会保険の扶養の範囲内でいられる月10万円というラインが1つの有力な選択肢です。まずは自身の業務量と家族構成を踏まえて、どのラインを目指すかを検討してみてください。

【解説】
Knees bee(ニーズビー)税理士法人(東京都千代田区)
代表 渡邊浩滋税理士・司法書士

危機的状況であった実家の賃貸経営を引き継ぎ、立て直した経験から2011年開業。18年大家さん専門税理士ネットワークを設立し、全国の家主を救うべく活動中。22年法人化。「賃貸住宅フェア」などでの講演も多数。
(2026年7月号掲載)

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