<<注目の新築プロジェクト>>
立地と設備で実現するセキュリティーの高さ
ターゲットを絞り空き待ちが出る人気物件に
ソラーナ・エル(広島県福山市)
最寄り駅から徒歩30分の木造3階建て、1K・全12戸の新築アパート「ソラーナ・エル」が、募集開始から3カ月で満室となった。その大きな理由は「立地」「ターゲットの絞り込み」「設備の充実」にある。
「福山市立大学から徒歩1分、さらに交番の裏という点が大きなポイントです」と話すのは、自身も15棟80戸の賃貸住宅のオーナーであり、同物件のプロデュースと管理を手がける豊田地所の豊田裕之社長だ。同大学が開校したのは2011年。それまでこのエリアは、一般住宅よりも倉庫や事務所など事業用の建物のほうが多かったという。
豊田地所(広島県福山市)
豊田裕之社長
- ▲女子学生を意識してデザイン性と耐火性が高い石目柄の外壁を採用
「オーナーから新築賃貸住宅の相談を受けリサーチしたところ、学生に特化した物件が少なく、周辺の企業に勤める社会人向けと思われる1LDKの物件が多いことに気が付きました」(豊田社長)
そこで差別化を図るため、ターゲットを同大学の女子学生に絞ることをオーナーに提案。さらに女子学生向けに、顔認証オートロックシステムの導入と交番裏という立地を生かして、セキュリティーに特化した物件にすることを進言した。オーナーは、豊田社長の提案に「面白い」という反応だったという。
顔認証オートロックシステムというと、高額な費用がかかるイメージがあるかもしれない。同物件では、高速インターネット回線と防犯カメラをセットで設置するシステムを導入。室内の配線や子機の設置が必要ないため、初期費用だけでなく将来の修繕費も安く抑えられるというメリットもある。しかも顔認証なので鍵を取り出したり暗証番号を押したりなどの操作が必要なく、両手に荷物を持っている状態でも解錠することができる。またスマートフォンに専用アプリを入れれば、外出先でも来訪者による呼び出しへの対応が可能だ。
女子学生を意識した設備はこれだけではない。2口コンロのキッチンをはじめシャワー付き洗面化粧台、宅配ボックスなど高付加価値設備のほか敷地内には3台の防犯カメラも設置。この結果、豊田社長によれば、入居者はもとより父親からの評価がかなり高かったという。
- ▲洗面所の床にもアレンジを加えて明るい印象に
- ▲アクセントクロスの濃い青色が印象的なトイレ
もちろん、暮らしやすさの工夫も忘れてはいない。部屋とキッチンを間仕切る扉は、横にスライドするとクローゼットの扉になる。この扉を開けておくことで、LDKのように部屋を広く使うこともできるのだ。
- ▲キッチンのタイルは白を基調とした部屋の雰囲気にも合う
- ▲部屋を仕切る扉がクローゼットの扉も兼ねている
こうしたターゲットを絞るという豊田社長の狙いはぴたりと当たり、25㎡という平均的な広さの1Kの間取りでありながら、募集開始後わずか3カ月で満室を実現した。
「合格前予約制度を導入しましたが、キャンセル待ちが発生するほどの人気でした」と豊田社長は胸を張る。
大学に近く商業施設も徒歩圏内という場所のため土地代は安くなかったが、それでも利回りは7%前後を確保した。実は、ターゲットを女子学生に絞ることで駐車場を設けず敷地を最大限使えたことも、利益確保につながっているという。
同大学では2027年度に新しい学部の開設が予定されていることから、豊田社長はこの経験を生かし次の計画に向かって進んでいる。

(2026年7月号掲載)






