<<人とつながる不動産活用>>
地域社会の未来を見据えた土地活用
医師が創造するコミュニティースペース
東京都世田谷区の池亀康夫オーナーは、小児科・内科医、そして家庭医として、地域医療の中心を担っている。池亀オーナーが経営する「給田ファミリークリニック」の横には6月現在、賃貸マンションが建築中だ。「この建物の根幹はレジデンスではなく、コミュニティースペースだ」と話す池亀オーナーのプロジェクトを紹介する。
池亀康夫オーナー(東京都世田谷区)

人との関わりが街も人も健康に
この建築プロジェクトの特筆すべき点は、目的が単なる収益の追求にとどまらないことである。建築中のマンションの低層階には、地域住民が交流できる「コミュニティースペース」が併設される予定だ。「上の階にはレジデンスを設けるが、これはあくまで建物の収益性を確保する手段に過ぎない。私がつくりたいのは、老若男女問わず集まり、交流が図れる場所だ」(池亀オーナー)
コミュニティースペースは、入居者だけでなく周辺地域の人々にも開かれる。子ども食堂、レンタルスペースとして地域住民へ貸し出すなど、さまざまな活用方法を検討中だ。そのようなスペースをつくろうと思ったのは、単なる思い付きではなく、医師として日々感じてきた人とのつながりの力が持つ可能性であったという。
- 1階にあるコミュニティースペースの外観。クリニックとの親和性も重視
- 建設中のマンションの外観
「病気は治る人と治らない人がいる。しかし、人が病気から回復するのは、単なる医療行為によるものだけではない。病気を患っていながらでも人との関わりの中で意義や意味を見いだすことができれば、その人は健康になっていく。人とのコミュニケーションがとても大切だ」(池亀オーナー)
医師の視点から人との関わりの大切さを感じた池亀オーナーは「さまざまな出会いがある場所をつくればその人、そして地域も健康になっていく」という思いを掲げ、コミュニティースペースづくりを行うことにした。
髙松建設が設計・建設
今回、池亀オーナーの賃貸マンションの設計を手がけるのは建設会社の髙松建設だ。構造・規模はRC造5階建て、総戸数は20戸の予定となっている。さらにスーパーなども誘致し、地域住民の生活を支える物件を目指す。髙松建設は、池亀オーナーのビジョンを具現化するため、設計段階からコミュニティー運営を見据えた動線計画や、地域に溶け込むデザインを採用している。
建物の設計には、同じく地主であった亡き父への思いを込めている。「あまり親孝行できなかったという思いがある。髙松建設なら父が生前行っていた『しっかりした建物を作る』という賃貸経営のイメージに一番のっとった建物を実現してくれる期待を持てた」(池亀オーナー)。引き渡しは11月を予定。

給田ファミリークリニックの外観。訪問診療なども行うなど、地域医療の重要な拠点だ
池亀オーナーはコミュニティースペースは賃貸経営と同様に「循環」や「持続性」を重視している。「情熱だけでは経営は続かない。まずはレジデンスでしっかり利回りを確保する。コミュニティースペースの運営自体も、NPO法人や近隣の学生が運営していくようにすれば、ずっと続いていくはずだ」(池亀オーナー)
(2026年7月号掲載)






