富裕層がターゲット 都市部を中心に展開 ―ベネッセスタイルケア

土地活用高齢者住宅・介護福祉施設

<高齢者向け住宅で土地活用>

ベネッセスタイルケア

 リノベーション物件、高層ビルなど幅広いメニューで有料老人ホームを展開するのがベネッセスタイルケアだ。特に都市部での出店意欲が旺盛で、バス便や最寄り駅から15分以上の立地でも検討の俎上に載せる。「23区内で検討できない場所はない」と言い切るほど、今最も勢いのある運営事業者の1つだ。

ベネッセスタイルケア(東京都新宿区)
執行役員 開発基盤本部本部長 米須正明氏

 用地不足や建設費高騰により、数年前には出店が難しいとされていた土地でも今なら検討するといったケースがよくあります。ぜひ高齢者向け施設での土地活用を考えてもらいたいです。需要がある限り出店を続け、柔軟なアイデアで多くの案件を手がけていきます。

富裕層がターゲット 都市部を中心に展開する

 ベネッセスタイルケアでは、364の有料老人ホーム(介護付き・住宅型)とサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)2施設、グループホーム2施設の合わせて2万605室を運営している。介護付き有料老人ホームの収益性が高いため、これを主軸に事業を展開。ただし「介護付き」は設置の届け出と共に特定施設入居者生活介護の指定申請が必要で、各自治体において介護保険事業計画に基づく定員が決まっている。

社員寮をフルリノベしたグランダ小石川

 同社の有料老人ホームは、入居者の多様なニーズに合わせて最適な商品を提供し、市場を広くカバーして競争力を高めるため、6つのシリーズを展開。最もグレードが高いシリーズは「アリア」で、以下「グラニー&グランダ」「ボンセジュール」「くらら」「まどか」「ここち」の順で続く。数が最も多いのは、上から2番目のグレードのグラニー&グランダだ。176拠点ある主力ブランドとなっている。

 入居者の介護保険の利用状況などにもよるため一概にはいえないものの、最もリーズナブルな、ここちの入居費用目安は概ね月額16万〜30万円程度。施設や居室タイプ、契約方式などにより異なるが、比較的金銭面で余裕のある層をターゲットに事業を展開しているといえるだろう。

 都道府県別で見ると、北は北海道から、南は熊本県まで展開。東京都が162施設で全体の約44%を占める。次に神奈川県が65施設、愛知県が27施設、兵庫県が25施設、大阪府が21施設。基本的に都市部で展開し、その土地の収益性や地域の事情を勘案して、施設のシリーズを決めている。

アクセスのいい住宅地に出店
目安は土地面積250坪以上

 同社が出店したいと考えるエリアは、都市部の良好な住宅地で、交通が至便で家族が訪問しやすく、スタッフの通勤にも適している場所だという。同社の執行役員であり開発基盤本部本部長の米須正明氏は「市場調査をし、富裕層が多いエリアで積極的に物件を調達します」と話す。

 そのエリアの中でも、ハザードマップに照らして危険度が低いことはもちろん、公園や商業施設、病院が近隣にあり、駅から徒歩15分以内の場所が望ましいという。

 土地面積の目安は250坪以上。延べ床面積1000~1500坪の建物には7台分の駐車場が求められるためだ。

 ただし、都市部においては条件を完璧に満たす土地は非常に少ない。そのため、同社は柔軟に検討を行っている。

 「多少土地が狭くても、高層化することで延べ床面積を確保できることがあります。また駅から15分以上かかる場所でも、エリアによっては十分な入居が見込めます。東京23区内で検討できない場所はありません。個々の案件ごとに検討しながら造り込んでいきます」(米須氏)

中途解約の違約金を設定
「撤退しない」覚悟で契約

 オーナーと同社の関わり方としては①すでに所有している土地にオーナーが施設を建てる②新規に土地を購入してオーナーが施設を建てる③オーナーが同社に土地だけを貸すなど、さまざまなパターンがある。

「昨今は建設費が高騰しています。収益の確保が難しくなる環境ではあるものの、私たちも高い出店意欲がある。いろいろな方法を提示することで、オーナーにとって無理のない形を選んでもらうようにしています」(米須氏)

 同社がオーナーに示す条件は、オーナーが負うリスクに配慮したものとなっている。

 建物を1棟借り上げる際には、賃貸借期間20~30年での一括借り上げ、その間の家賃変動は原則なし、建物・設備の法定点検費用は原則同社が負担するなどである。

 特徴的なのが、万が一、同社から中途解約をする場合の違約金を設定していることだ。実際に借り入れを行っているか否かにかかわらず、解約時点での借入残高を違約金として設定している。

「オーナーのリスクは当社の倒産だけだといえるでしょう。当社が違約金を設定するのはオーナーに安心感を得てもらうためなので、撤退は少しも想定していません。言い換えればオーナーに『撤退しない覚悟』を示しているということです」(米須氏)

「グランダ桜新町」は保育園と放課後児童クラブとが同じ建物内にある複合施設となっている

 投資総額は、マンションを建てる場合と同程度だという。介護に向いた特別な仕様にするとしても、基本は住居なので大きく費用が変わるわけではない。

「当社のシミュレーションに基づく具体的な経済条件をオーナーに提示し、まとまれば開設に向けて動き出すということになります」(米須氏)

ビル型やリノベ案件など
豊富な選択肢が魅力

 建物のバリエーションが豊富なのも同社の魅力。

 例えばリノベーション事例としては、清和綜合建物の社員寮をフルリノベした「グランダ小石川」を26年3月にオープン。ラグジュアリーな空間をつくり上げたという。

「フルリノベにより、内装は新築のブランド同様の仕上がりです。改修のいいところは豊かな空間が生み出せる点。新築は効率性を考えて設計していくので窮屈になってしまうこともありますが、リノベの良さは、もともとの建物が持つ空間の遊びを生かせる点です」(米須氏)

 オーナーにとっても、新築より費用が抑えられるメリットがある。同社はリノベによる出店も積極的に行いたいという。

 このほか、用途が複合する建物の実績もある。例えば、有料老人ホームと放課後児童クラブや保育園が複合している建物では、高齢者と子どもたちが触れ合う機会が設けられ、施設の特長となっている。また賃貸マンションやテナントと複合する例もある。有料老人ホームとの動線を完全に分けることで、どちらも問題なく運営できているという。

「複合用途の場合は新築が前提となりますが、例えば、マンションだけでは空室リスクが不安であるとか、リスク分散をしたいといった場合に有効です」(米須氏)
(2026年8月号掲載)

一覧に戻る

購読料金プランについて

アクセスランキング

≫ 一覧はこちら