【連載】海外各都市の不動産投資:3月号掲載

賃貸経営不動産投資

アメリカ・ダラスの不動産事情

人口流入の盛んな大都市圏

 2022年、アメリカ経済をけん引するテキサス州の人口は3000万人を超え、カリフォルニア州に次いで全米第2位となっています。そのテキサス州の二大都市の一つで、ヒューストンと並ぶ都市がダラスです。ダラスの都市圏人口は23年に800万人に達し、全米で最も人口動態が活発な都市の一つです。

 

 

 ダラスは平地で、住宅のほとんどは土地付き一戸建てです。10年代初頭までは田舎町然としていて、不動産価格も非常に安い水準で推移していました。それが13年に上昇に転じて、フリトレー、JCペニー、ピザハットなどの大企業がダラス北側のプレイノに本社を移した15年ごろからは価格上昇に拍車がかかり、20年のコロナ禍で急騰。一気に50%ほど上昇しました。
 22年6月にはピークを打ち、高金利の時代を迎えて価格上昇が止まっています。とはいえ、住宅価格指数はピーク時と比べて4%しか下落していません。

 

住宅価格は上昇見込み

ダラス市街地

 

 ダラスの住宅市場は、米国の多くの都市と同様に「ローン利率が高く住宅を買う人が少ない」「売り物件が少なく、売買取引が少ない」という状況で、価格は膠着状態が続いています。盛んな人口流入のおかげで底堅さが見られるともいえます。
 上昇が続いた米国の金利は、24年前半には利下げが始まるとの見方が強まっています。そうなればダラスの住宅不動産は一気に活況になり、価格も上昇に転じると予想されています。一方、コロナ下でテレワークが普及した影響で、商業物件、特にオフィス需要は弱い状況です。


 ダラスは地域差も大きく、高級住宅地ハイランド・パークには、桁違いの富裕層の世界があります。プロアメリカンフットボールNFLの「ダラス・カウボーイズ」オーナーの巨大な邸宅をはじめ、庭の広いお屋敷が延々と連なります。売りに出れば1000万ドル(約14億円)を超える物件です。高級レストランの駐車場には「フェラーリ」が並び、見た目でもわかる金持ちが降りてきます。この一帯の新築コンドミニアムには、面積単価がマンハッタン並みの超高額物件もあります。


 今、日本在住の投資家に人気なのは、トヨタ北米本社もあるプレイノ周辺、フリスコ、マッキニーなど、学区スコアの良い閑静な住宅地で、40万~50万ドル(約6000万~7000万円)クラスの戸建てやタウンハウスです。日本人駐在員が入居することも少なくありません。

アジア太平洋大家の会
代表 鈴木 学
海外不動産に精通し、6カ国語を操るアナリスト。国際不動産エージェントの取締役としても多数のセミナーを主催する。自身も6カ国で物件を所有し、投資・経営を行うグローバル家主。

(2024年3月号掲載)

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