めぐる
特許取得の工法を基に敷地面積の最大活用を提案
「めぐる組」を屋号とする、めぐる(東京都大田区)は、東京23区を中心に賃貸物件の建築を手がける。2018年の創業以来、約50棟に上るRC造の賃貸住宅の建築に携わってきた。都内に多い狭小地や変形地における建築を強みに、売り上げを伸ばす。
めぐる(東京都大田区)
牛山貴瑛社長(34)
狭小地や変形地における建築ノウハウ持つ
▲地上3階、地下1階建ての「Elysion Kitasenzoku(エリュシオンキタセンゾク)」地上3階、地下1階建ての「Elysion Kitasenzoku(エリュシオンキタセンゾク)」
めぐるでは、賃貸住宅の企画から施工までワンストップで請け負う。牛山貴瑛社長はハウスメーカーやゼネコンの現場監督として経験を積み、自らも企画や設計のプロセスに関わってきた。
同社が手がける建築の強みは主に三つ。一つ目が、土木工事のノウハウを用いて地下室を効率的に施工できる工法の特許を持つ点だ。地盤が崩れないように施す山留め工事に、地下水が染み出てこない独自の工法を用いる。敷地面積70~200㎡ほどの狭小地や変形地などの土地の建築において地下室をつくり、通常より1フロア増やした敷地を最大限に生かすプランを提案する。
強みの二つ目として、構造と意匠、設備に関する設計を分離発注し、建築費の無駄を省いていることが挙げられる。建物構造の設計を専門にした社員の知見を生かし、構造の最適化を意識する。一般的には、意匠設計を基に構造や設備の設計を行うケースが多いが、構造が二の次になってしまうため、場合によっては建築費用に無駄が発生してしまうことがある。
三つ目は海外のメーカーと直接取引することで、コストや中間マージンをカットし、高品質な建材を安価で仕入れる体制を築いている点だ。独自の調達ルートを開拓したため、国内メーカー品も含め、商社から仕入れるよりも仕入れ価格を抑えることができる。めぐるが手がける建物ブランド「URBANCY(アーバンシー)」では、大理石のキッチンや無垢材のフローリングを標準仕様とする。そのため、周辺相場より10%ほど高い賃料設定ができているというオーナーからの評価もある。
牛山社長は「土地や建材費が高騰する中で、都内で収益性を確保したRC造の賃貸住宅を建築するには、当社が持つノウハウが必要不可欠だと自負している」と話す。
24年8月末には、約15億円の売り上げを見込んでおり、来期は20億円以上の売り上げ計画を予定する。「オーナーからの口コミが広がり、堅調に受注件数を伸ばしている。建築会社が倒産するケースも多く聞くが、身の丈に合った経営を意識し、しっかりと採算性を成り立たせたうえで、物件を供給しなければならないと考える」(牛山社長)
(2024年9月号掲載)
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