不動産市場で光るプレーヤー
Laundry Press [アスファクト]
192通りの洗い方が選べるコインランドリー500店超展開
土地・テナント活用として人気があるコインランドリー。その中でも異彩を放つのが、全国で500以上の店舗をプロデュースするアスファクト(福岡市)だ。同社が展開する「LaundryPress(以下、ランドリープレス)」は、192通りの洗い方を選べる独自の洗濯機やクリーニング併設店などもある点が特徴。加盟金やロイヤルティーが0円のコインランドリーFC(フランチャイズ)チェーンを展開する同社の和田剛会長と満川一郎社長に、コインランドリー市場における同社の強みについて話を聞いた。
アスファクト(福岡市)
和田剛会長(52・左) 満川一郎社長(51・右)

洗剤まで選べる独自の洗濯機
「肌が弱いから無添加の洗剤がいい」「柔軟剤、選べるといいな」「コインランドリーでもつけ置き洗いができればいいのに」
こんなユーザーのニーズに応えるコインランドリーが、ランドリープレスだ。同店は、洗濯機を業務用洗濯機の国内トップメーカーと共同開発。冒頭のニーズに応える機能のほか、45度のお湯洗い機能、つけ置き洗濯への対応、高熱乾燥でダニを死滅させ洗濯して死骸を流し乾燥させる3工程方式の採用などがある。このようなオプションメニューを組み合わせると192通りの洗い方が選べるのだ。
月商は直営店でおよそ平均150万円。コインランドリー業界では、店舗に設置されている洗濯機の台数や立地にもよるが、月商50万〜60万円というケースがざらであることから、同社の直営の売り上げの高さがわかる。その強みの一つがオプションメニューによる単価アップだ。平均客単価は1600円前後で、オプションメニューは全体売り上げの10%ほどを占める。
さらに、ユーザーに支持される理由は、店舗設計にある。大きなポイントは二つ。一つ目は、直営店をはじめ開業を支援する店舗はすべてデザインを変えていることだ。「当社で開業支援した店舗はそれぞれデザインを変えています。当社は建設業も持っているため、内製化してかっこいいと思われる店舗を設計します」(満川社長)

▲店舗によってデザインが異なる外観
二つ目は、ランドリーを店舗面積に可能な限り多く設置するのではなく、ゆとりある設置にしている点だ。例えば20坪の店舗では12~13台を置こうと思えば置けるが、9~10台にしている。機器の選定についても市場調査に基づいて選定を行う。「当社は店舗オーナーに長く安定した経営をしてほしいと思っています。そのため無理に多くの機械を売ることはしません。初期費用を抑えつつ利益を出す仕組みが重要です」(和田会長)
同社のオーナーは、およそ300人だが、これまで一人も閉店をしていないという。また複数店舗展開しているオーナーが少なくとも約2割おり、その数からも収益性が高いことがわかる。ちなみに同社では和田会長や満川社長、そしてスタッフ関係者もオーナーとしてランドリープレスを経営している。
現在年間30店ほど開業支援を行っているが、近年オーナーに多いのはクリーニング店経営者。コインランドリーにクリーニング店を併設して運営しており、全体の約3割の店舗を占める。コインランドリーはクリーニング店と相乗効果を上げやすい点が、クリーニング店のオーナーが多い理由だ。無人が多いコインランドリーも、クリーニングコーナーの営業時間は有人になるため、コストを抑えて有人のメリットを生かすことができる。

▲かっこ良さを目指した店内
会長は洗濯業界一筋35年
同社の創業者である和田会長は洗濯業界一筋35年だ。クリーニング機械販売の総合商社で、機械販売・工場設計・店舗企画などの営業を14年間経験。クリーニング・コインランドリー事業を経営する店舗側と、来店客、両方の目線で「クリーニング」ビジネスを見つめてきた。そんな中で、自分なりに新しい価値創造や改善策を考えた。
2006年に、自身がオーナーとなるクリーニングとコインランドリーの併設店のオープンを機に独立した。当時は「業界をかっこよくしたい」という思いで、誰でも利用しやすい、新しいコインランドリーとクリーニング店の良さを融合させた店舗を目指した。自分自身でクリーニング・コインランドリーの経営を行ってきたことと、業界に長年従事していることを武器に、出店における市場調査・根拠となるサンプル量、地域1番店になる店づくりとノウハウで、これまでプロデュースの実績を積み上げてきた。ちなみに、独自の洗濯機開発には前職の経験が生かされている。
- ▲コインランドリー店舗内にあるクリーニングコーナー
- ▲ランドリープレスの洗濯機は洗剤を選ぶことができる
「近年、コインランドリー店舗が数多く出店していますが、多くは不採算店舗と見受けます。その理由は立地の悪さ・過剰設備です。経験の少ないメーカーと営業担当者に依頼すると、後悔と借金しか残りませんよ」
こう話す和田会長は業界が発展していくためには、不採算店の出店で不幸な人を増やしてはいけないと考えている。そのため、出店したいと相談があっても、いい物件が出てくるまで待たせることもしばしばある。
開業資金は、店舗がある場合は3000万円、ない場合は5000万円が目安。管理、運営のアウトソーシングも同社で受けており、不動産オーナーの開業のハードルは高くないようだ。
「日本のコインランドリーの利用者は欧米と比較すると半分ほどです。まだまだ需要はあり、やり方さえ間違わなければ収益を出すことができると思っています」(和田会長)
(2025年7月号掲載)
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