「相続した土地の面積が小さくて活用しにくい」
「所有する賃貸住宅の駐車場が長期間空いたままになっている」
「空いている土地を半年間だけ活用したい」
こういった不動産オーナーの悩みに応えられる土地活用の方法の1つがコインパーキング運営です。「地主と家主」ではこれまで、多くのコインパーキング事業を展開する企業や実際に運営している不動産オーナーに話を聞いてきました。
今回はその中から、コインパーキング運営を考えている不動産オーナーの役に立つ記事を編集部がピックアップ。厳選した8本をご紹介します。

1.条件緩和で活用しやすくなった コインパーキング最新動向
土地活用の選択肢として普及してきたコインパーキング。そのメリットは初期コストが少なく、管理の手間もほとんどない点が挙げられる。またコインパーキングの契約は通常の借地借家法の範囲ではなく、民法の範囲である「一次使用賃貸借契約」となる。そのため契約期間が終わればすぐに立ち退きが可能である点も、土地活用として選択しやすくしている。
さらに近年、キャッシュレス決済対応が進み、開設コストや管理コストの削減につながるさまざまなサービスも登場しており、市場は緩やかな拡大にある。特にキャッシュレス化は、利用者の利便性が向上するとともに運営側も管理業務の効率化や不正利用防止につながり、メリットが大きい。
一方で、やはり立地は重要だ。前面道路の交通量が多かったり、近隣に商業施設やオフィスビルがあったりするエリアでは、利用につながりやすい。また一概に郊外だからといってコインパーキング事業に向いていないというわけではない。所有地の周辺に人気店がオープンして行列ができそうならコインパーキングの需要は見込めるだろう。つまりトレンドと地域環境の変化をキャッチしながら運営することが肝なのだ。
2.洗車機と手洗いブースを備えた新形態の洗車場
全国で約8万車室のコインパーキングを運営する大和ハウスパーキングは、2024年から新タイプの洗車場「D─Wash(ディーウォッシュ)」を展開している。コンセプトは『日々の生活のルーティンとして洗車を自然に取り入れていただけるように』。洗車機と時間貸し手洗いブースを配備していることが特徴となっている。
大型純水生成機を導入している点も特徴の1つ。「高純度純水のため、機械洗車後に拭き上げなくてもほぼ跡が残りません」と同社の酒井太社長は話す。さらに女性を意識した店舗デザインや、コアな洗車愛好家を満足させる設備のほか、SNS上での利用者とのコミュニケーションにも注力しているという。
地主から借りた土地に、大和ハウスパーキングが施設に関わるすべての投資を行うため、地主は初期費用が不要だ。契約期間は基本15年以上の事業用定期借地契約で、契約期間中に発生する修繕費用などの追加投資も地主は払う必要がない。
同社では今後、「洗車プラスアルファ」の新しいライフスタイル空間を目指し、全国に拠点を増やしていく予定だ。
▶洗車機と手洗いブースを備えた新形態の洗車場 ―大和ハウスパーキング
3.コインパーキング、EV充電サービスで差別化
立体駐車場メーカーとしての知見を生かしたEV(電気自動車)充電サービス「Charge-mo(チャージモ)®」を展開し、駐車場事業が好調な極東開発工業。同社の手がけるコインパーキング「P.ZONE(ピーゾーン)」は、2025年12月末時点で全国に750カ所、1万2500車室に及ぶ。
P.ZONEでは、土地オーナーや不動産会社から同社が土地を借り上げ、駐車場の運営・管理をすべて行う「一括借り上げ方式」を採用。オーナーの負担を最小限に抑えつつ、毎月一定の賃料を支払うというビジネスモデルを強みとしている。
23年10月にはEV充電サービスCharge-moの提供を開始した。EV充電器の設置工事からシステムの運用、日々の状態監視まで、EV充電に関わるサービスを一貫して提供することで他社との差別化を図っている。
▶コインパーキング、EV充電サービスで差別化 ―極東開発工業
4.看板事業から「貸す」を軸にした不動産事業を展開
時代に合わせて事業を変化させて拡大してきた社長がいる。リファレンス(福岡市)の相部光伸社長は、家業の看板業から「貸す」を軸にした事業を展開。現在では、貸し看板や賃貸住宅、コインパーキング、貸し会議室、ホテル事業などを手がけ、54億円(2025年1月期)の年売上高を実現している。
「変化に対応できる企業しか残らない」と話す相部社長が経営者となったのは22歳のとき。父親の体調不良がきっかけだった。売り切りのビジネスである看板制作で事業を拡大することに苦労した相部社長は、貸し看板事業に進出。インターチェンジを降りた付近の道路左右10区画の土地を借りて、看板を設置したところ好評を博し、貸し看板業の売り上げは大きく伸びていった。
その後、消費者金融事業や携帯電話の販売代理店、コインパーキング事業とビジネスを拡大。コインパーキング事業が契機となり、以降は「不動産を稼働産に」をテーマに掲げて不動産を増やし、一気に不動産賃貸事業へかじを切った。
5.拠点数を生かしたデータ分析で利用料調整
グリーンとイエローのロゴマークの看板が目を引く「三井のリパーク」を運営するのは、三井不動産グループの1社であり、コインパーキング業界2位の三井不動産リアルティだ。同社はグループ力を生かした土地活用の提案ができることを強みに、地主の土地活用から、商業施設やビルなどの施設の駐車場活用まで幅広く事業を手がけている。
「立地や条件に応じて、オーナー様の不動産に関する悩みに対してさまざまな解決方法を提供できる点が強みです」と、シェアリング事業本部事業推進部事業推進グループの大西良三グループ長は話す。
コインパーキングは、土地の活用計画が未定のときや物件の建築時期が定まらないとき、暫定的に事業化されるケースがある。また商業施設のオープンにより急に需要が高まったり、反対に競合するコインパーキングができて利用率が低下したりすることもある。そうした市場環境の変化に素早く対応できる点も他社との差別化になっている。
▶グループ力を生かした提案力が強み ―三井のリパーク 三井不動産リアルティ
6.東海のパーキングの雄、キャッシュレス対応99%
名鉄グループの総合商社である名鉄協商は、コインパーキングの施設数が3900カ所を超え、約9万2000車室を運営するなど、東海エリアのコインパーキング市場でナンバーワンのシェアを誇る。同社の強みは業界に先駆けて推進してきたオンライン対応だ。
同社では2007年にオンラインシステムを導入し、クレジットカード決済ができるように進めてきた。そのため現在では、キャッシュレス決済対応が99%となっている。
またオンラインシステムを導入することで、遠隔での一元管理を実現。これにより、精算機の不具合やゲートの開閉不良といったトラブルに対して即時対応が可能となった。
ポイントカードを発行していることも特徴の1つだ。同社では09年から法人向けに「名鉄協商パーキング ビジネスカード(MKPビジネスカード)」を提供しているほか、11年には個人向けの「MKPポイントカード」のサービスもスタートした。今後は全国での施設数4000カ所を目指し、関東エリアへの出店をさらに進める意向だ。
▶コインパーキング キャッシュレス決済対応99% -名鉄協商
7.駐車場上部空間に商業施設を企画・建設
東証スタンダード上場のフィル・カンパニーは、コインパーキングの上部空間を生かした商業施設「フィル・パーク」を展開している。同社は「空間ソリューションサービス」ビジネスとして、駐車場はもちろん、空き家、空き地などの「未活性空間」の企画・活性化も手がける。企画・設計から施工までワンストップで提供できることが特徴だ。
フィル・パークの対象となるのは、基本は2〜4階の低層階の建物だが、近年は独特な工法を生かして、更地に5階以上の建物を建設するケースもある。同社では、あらかじめリーシングを進めてから入居するテナントに合った建物を提供。オーナーに初期テナント誘致保証を付与することで、建物完成・引き渡し後の事業スタート時から投資回収を可能にしている。
同社の金子麻理社長は「テナントはもちろん、投資するオーナーもハッピーになるように、そしてその街に合ったものを提供するのが当社のミッションです」と話す。土地オーナー、テナント企業のどちらにとってもメリットがある土地活用を提供している。
▶【特集】非住宅ではじめる 遊休地活用ビジネス第六弾:③コインパーキング
8.駐車場マッチングビジネス需要拡大
大阪市に本社を置くakippaは、使っていない空きスペースをネット上で簡単に貸し借りできる駐車場予約アプリ「akippa」を提供している。
具体的には、契約されていない月極駐車場や個人宅の車庫・空き地・商業施設などの空きスペースと、イベントなどで一時的に駐車したい人をマッチングするビジネスだ。専用アプリを通じて予約することで駐車可能になり、誰でも簡単に駐車場をシェアできる。予約可能なスペースは常時3万5000 カ所以上、登録者は累計350万人を突破。駐車スペース不足の解消はもちろん、店舗の駐車スペースをシェアすることで収益を得られることから、貸借両面で利用しているFC店舗もある。
貸し手・利用者とも登録料や月額費用は一切不要なうえ、料金は貸し手側が決めることができるという手軽さで、借り手・貸し手両面からの注目を集めている。
▶【特集】非住宅ではじめる 遊休地活用ビジネス第六弾:④スペースシェアリングサービス
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(2026年6月公開)

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