エリア別で考える土地活用、甲信越・北陸エリアの新築状況は?

土地活用賃貸住宅

 「相続で取得した土地の活用に悩んでいる」「田舎の土地が空き地のままになっている」「事業の助けになるように不動産事業を始めたい」など、土地活用を考える理由は人によってさまざま。一方で、最初に思い浮かべるのは賃貸住宅経営という人は多いでしょう。管理会社などに任せれば、それほど手間もかからず安定した収入が見込める賃貸経営ですが、周辺の競合物件の状況や地域の賃貸ニーズといった情報の収集と、それに基づく戦略は必要です。そこで、国土交通省の「建築着工統計調査報告・住宅着工統計」で、2024年に甲信越・北陸エリアにおける貸家(賃貸住宅)の新築着工数をみることで、同エリアの賃貸市場の状況を探ります。

甲信越・北陸エリアでの新築賃貸住宅による土地活用は長野県が最多

 国土交通省では建築基準法に基づき、全国の建築物の着工状況を明らかにするため、建築主から都道府県知事に提出される建築工事届を集計し、「建築動態統計調査」として毎月公表しています。その中で、新たに建築された住宅に関する調査結果をまとめたものが「住宅着工統計調査」です。

 同調査によると、甲信越・北陸エリアで24年に着工した賃貸住宅は1万580戸。甲信越・北陸エリアの新築着工総戸数3万7222戸のうち28.4%を占めています。

 甲信越・北陸エリアにおける構成割合では長野県が30.7%と最多。次いで、新潟県の20.0%、富山県の18.9%、石川県の12.7%と続きました。福井県、山梨県はともに10%以下でした。

 

長野県では新築賃貸住宅での土地活用は木造が半数以上

 24年の賃貸住宅着工数が3250戸で、甲信越・北陸エリアで最も構成割合が多かった長野県。同県の新築着工総戸数1万967戸に対して29.6%と3割を下回ったものの、前年比では3.6%増加しました。

 賃貸住宅の構造別に見ると、木造が1840戸で56.6%と半数を超えました。次いで鉄骨造が38.1%、鉄筋コンクリート造が5.0%、その他が0.2%の順になっています。

 建て方別では、新築賃貸住宅着工数において1673戸だった長屋建てが51.5%と過半数を占めました。次いで共同住宅が43.6%、一戸建ては5.0%となっています。

新潟県の土地活用、新築賃貸住宅における構造別は木造が8割以上

 24年の新築賃貸住宅の着工数が2121戸と甲信越・北陸エリア6県のうち2番目となった新潟県。新築着工戸数8275戸のうち賃貸住宅は25.6%を占めています。

 賃貸住宅の構造別にみると、木造が1784戸で84.1%と甲信越・北陸エリアで最も高い割合となりました。鉄骨造は298戸で14.0%、鉄筋コンクリート造は39戸で1.8%でした。

 建て方別では長屋建てが1232戸と58.1%を占めました。共同住宅は858戸で40.5%、戸建ては31戸で1.5%に止まりました。

新築着工総戸数がエリア内で唯一前年比4割強増となった富山県の土地活用

 富山県の24年の新築着工総戸数は5282戸と、甲信越・北陸エリア内で14.2%を占めました。同エリア内の県が軒並み前年比減となる中、唯一4.9%増を示しています。賃貸住宅着工数は2003戸。こちらも前年比6.7%増と同エリア内で最も高い増加率でした。

 構造別内訳を見ると、木造が66.8%と7割に迫る構成比となったほか、鉄骨造は28.8%、鉄筋コンクリート造が3.9%、その他が0.4%となっています。

 建て方別では、長屋建てが51.7%、共同住宅が47.6%と、この2種類で99%を超えました。

石川県の新築賃貸住宅での土地活用、共同住宅が7割近く

 石川県で24年に着工した賃貸住宅は1347戸と、甲信越・北陸エリア6県のうち4番目となりました。

 構造別に見ると、木造が59.8%と全体の6割近くを占めています。そのほか鉄骨造が35.3%、鉄筋コンクリートが4.9%でした。

 建て方別では、共同住宅が69.8%と、全体の7割近くを占めて最多。長屋建ては28.5%、一戸建ては1.7%となっています。

福井県における新築賃貸住宅による土地活用、木造が8割を超える

 福井県の24年の賃貸住宅着工戸数は991戸で、甲信越・北陸エリア6県中5番目となりました。同エリアの賃貸住宅着工戸数における福井県の構成割合は9.4%。前年比はエリア内で一番マイナス幅が大きい37.4%の減少でした。

 構造別内訳を見ると、木造が82.8%と8割を超えています。鉄骨造は15.9%、鉄筋コンクリートが1.2%となっています。

 建て方では共同住宅が61.6%、長屋建てが37.7%、一戸建てが0.7%でした。

山梨県の賃貸住宅による土地活用、木造と長屋建てがそれぞれ半数を超える

 山梨県で24年に着工した新築賃貸住宅の戸数は868戸で900戸に届かず、甲信越・北陸エリアでは最下位の6番目となりました。新築着工総戸数は3964戸で、前年比0.1%減でしたが、賃貸住宅の着工戸数は前年比15.9%の減少となっています。

 構造別内訳では、木造が61.5%、鉄骨造が29.4%、鉄筋コンクリートが9.1%となっており、木造が6割を超えました。

 建て方別を見ると、長屋建てが53.1%と半数を占めています。共同住宅は42.5%、一戸建てが4.4%でした。

甲信越・北陸エリアの傾向を把握して、効果的な賃貸住宅建築を

 甲信越・北陸エリアで最も賃貸住宅の新築着工戸数が多かったのは長野県でした。エリア内3番手の富山県は前年比6.7%増と、6県の中で最も大きな伸びを示しました。一方、石川県は前年比25.9%減、福井県は同37.4%減と、2024年1月1日に発生した能登半島地震の被害が甚大だったことなどから、新築着工戸数が大きくマイナスになっています。震災の影響もあり、24年の甲信越・北陸エリアの新築賃貸住宅市場は全体的に低調だったと言えます。

 構造の傾向では、全県で木造が5割を超えました。特に新潟県と福井県は8割を超えています。

 用途別では、新潟県、山梨県、長野県、富山県で長屋建てが最多。石川県と福井県では共同住宅が最多でした。

 石川県をはじめとする富山県、福井県の3県は震災の影響により供給量が減少した分、新たな住まいを探す人たちによる賃貸住宅需要も高まりました。しかし、若い世代を中心に他県へ避難する人も多く、人口流出が課題となっているようです。同エリアで賃貸住宅を建築する場合は、それぞれの県の地域性や動向を把握して今後の経営指針に生かし、効率の良い賃貸住宅の建設ができるようにしたいですね。
(2026年3月23日更新)

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