モノづくりをする入居者 作品を通し地域とつながる

土地活用その他建物

<話題のスポット> ※以下は地主と家主(旧家主と地主)2021年1月号から抜粋した記事で、内容は取材時の情報です。



 本企画では、地域で話題になっている賃貸住宅をこれまで32物件紹介してきた。そのなかでも、今回はクリエイターやアーティストの入居者らが、作品の販売やワークショップを通し、地域住民と交流している物件に焦点を当てる。

モノづくりをする入居者 作品を通し地域とつながる

『欅の音terrace(テラス)』

▲入居者と設計を担当したつばめ舎建築設計のメンバーがテラスでバーベキュー

専有部の玄関先が店舗 マルシェを開き人が訪れる

 入居者とオーナーがともに維持管理し、仲間づくりのできる場として再生したのは、東京都練馬区にある『欅の音terrace(テラス)』。代々続く地主のオーナーから、この物件の運営者や将来的な相続を含め、スタジオ伝伝(東京都港区)に相談があったのがきっかけだ。開設した2018年から、2~3カ月に一回、入居者が中心となって出店する『ナリ間ルシェ』というマルシェを開き、訪れる人を楽しませている。

 募集に際し、商業利用をすることと同時に、住居としても利用することを条件とした。さらにコミュニティーに参加できる人を選んでいき、入居希望者には事業計画書や実現したいことなどをまとめた小論文の提出を求めたという。その結果、1階にはコーヒー店や自転車店、学習塾などが入居し、2階はハンドメイドのアクセサリーや副業で書店を開く会社員などが入居した。

 入居者同士の交流も盛んで、部活動をイメージした「解体部」「園芸部」も発足。オーナーが近くに所有する物件を部員が解体し、シェアキッチンにする取り組みや、共用庭の花壇づくりなど「モノづくり」を柱に住民間の関係が深まっている。

 


『ヨリドコ大正メイキン』

1階のシェアアトリエで作品作り ショップスペースで販売

 「アトリエ+住居+店舗」をコンセプトに17 年に大阪市でオープンしたのは『ヨリドコ大正メイキン』だ。小川拓史オーナーは「入居するアーティストがいろんなイベントに出展して、自前のアトリエを構えられるように応援したい」とオープンの目的を話す。

▲『ヨリドコ大正メイキン』のシェアアトリエで開催されたイベント

 モノづくりの街・大阪市大正区で、長年空き家だった築65年の重層長屋をクラウドファンディングで認知度を上げつつ、不足していた工事費用を集めて改修した。

 同物件は1階がシェアアトリエとショップスペースで、2階が居住部。2階に住むイラストレーターや服飾クリエイターが、1階で洋服や服飾小物を制作している。作品は、週4日開くショップスペースで販売し、来店客や地元住民、作家同士で交流を深めている。

 

『はたらくものづくり村』

起業したい移住検討者 地域住民向けにイベントを開催

 少子高齢化と人手不足により空き店舗や空き家が増えていた北海道足寄郡。木村建設(北海道足寄郡)の木村祥悟社長は、町の人がくつろげる場所が減っていくことに危機感を覚えたため同社の『木組み』工法のモデルルームを造るにあたり、モノづくりで起業したい人が同地域に移住し、空き店舗を利用して開業すれば、町が豊かになるのではないかと構想。モデルルームを兼ねたシェアハウスと、誰でも利用可能なコミュニティースペースがある『はたらくものづくり村』を19 年に開設した。

▲シェアハウスの住民中心で開いた『ものづくり市』

 コミュニティースペース『かってば』は移住検討者である入居者が地元の人とコミュニケーションを図り、新しいコミュニティーが築けるように造られた。シェアハウスには絵描きなどのアーティストが居住。クレヨンづくりのワークショップなどを開催している。

 19年10月には、シェアハウスの住民が中心となり『ものづくり市』を『かってば』で開催した。フェルト生地の縫い物や手作りの菓子を販売し、モノづくり体験のワークショップも開催。子どもを連れた町の住民らが訪れている。

 

(2026年5月8日更新)

一覧に戻る

購読料金プランについて

アクセスランキング

≫ 一覧はこちら