<<省エネ最前線>>
2500万円から投資できる低圧系統用蓄電所
車2台分のスペースで活用可能
遊休地の新たな活用法として「系統用蓄電池」の設置が注目されている。特に4月の制度変更によって、投資家はもちろんのこと、地主の土地活用の観点からも期待が高まっているという。太陽光発電事業のマッチングサイト「タイナビ発電所」を運営するグッドフェローズのメディア営業部再エネグループ井上洋介事業部長に話を聞いた。
グッドフェローズ(東京都品川区)
井上洋介事業部長

系統用蓄電所の制度変更
再生可能エネルギー投資商材として注目を集めている系統用蓄電池。だが、これまで資金が6億円以上必要である点や太陽光発電所開設可能な立地条件がネックとなっていた。そうした中、4月の制度変更により、2500万円前後で出力50kW未満の低圧系統用蓄電所を開設できるようになった。
この状況を踏まえて、グッドフェローズでは、タイナビ発電所で、新たに低圧系統用蓄電所案件の掲載を始めた。同社の井上事業部長は「従来の高圧系統用蓄電所に比べて参入障壁が低い一方、ルールにも未整備な部分があるので慎重に判断していくことが重要」と話す。
再エネ投資の新規参入
系統用蓄電所は、再エネの拡大や電力市場の価格変動に伴い、電力供給の安定化を担うため重要性が高まっている。その中で、従来の大規模で高額な、高圧系統用蓄電所の案件とは違い、低圧系統用蓄電所は、個人投資家や新規参入者にとってハードルが低い金額で投資できる点が特徴だ。
「当社が運営するタイナビ発電所の5月の新規会員のうち関心のある商材として系統用蓄電所を選んだ人が70%を超え、太陽光発電設備を上回った」(井上事業部長)
同社では、低圧系統用蓄電所を同サイトで扱うことで、投資の裾野を拡大することを目指すとともに、地主に対しても低圧系統用蓄電所が、小規模な土地活用において新たな選択肢となることをアピールしていく。

ウェブサイト「タイナビ発電所」内に系統用蓄電所を追加
低圧系統用蓄電所は、大規模な造成は不要で、乗用車2〜3台分のスペースがあれば設置可能だ。
「日影の影響を受けにくいため、駐車場にするには適さない地方の遊休地や、太陽光発電には不向きな土地であっても活用できるという立地の柔軟性もある」と井上事業部長はいう。
ただし、設置するためには電力網への連系が可能な場所であることが大前提となる。設備を運用する中では熱や音が発生するため、周辺環境に対して配慮する必要がある。
運用形態には、土地を貸し出すだけでなく、土地オーナーが自ら設備投資を行う選択肢もある。ただし、その場合は自己資金が必要となり、リスクも変わるため慎重な判断が求められる。

■系統用蓄電所の仕組み
設備投資の3つの留意点
地主が投資家と同様に設備投資を行う場合、低圧系統用蓄電所に関して、主に3つの点に留意する必要がある。
1つ目は、系統用蓄電所の収益が市場連動型であり、固定収益が見込める太陽光発電設備とは性質が異なる点だ。市場への参入者が少ない初期には短期間での回収が見込める案件もあるが、今後は参入者の増加に伴い収益性が低下していく可能性がある。
2つ目は、資金調達の難易度。現時点では金融機関からの融資が下りにくく、自己資金での投資が基本となる傾向が強い。
3つ目は、4月に参入可能となって以降、電力会社への申請フローが定まっておらず、連系許可の回答が得られにくい状況が続いていること。市場関係者の多くが様子見の姿勢をとっており、これからの行政と電力会社のルールづくりの動向が注目される。
今後の展望としては、低圧蓄電所の流通活性化は、再エネの主力電源と電力需給の安定に寄与するものと期待される。「制度や運用フローが未整備な部分も多いが、今秋10月にかけて市場の動きが活発化する可能性がある」(井上事業部長)
今後は先行者メリットの享受と、制度未整備に起因するリスクをてんびんにかけつつ、エリアごとの電力供給事情や規制動向を精査する姿勢が、投資家・地主双方に求められそうだ。
(2026年10月号)






