<<THE プロフェッショナル>>
第一興商
繁華街で培った狭小地、変形地の活用提案
カラオケ機器メーカー大手の第一興商は「ザ・パーク」のブランドで全国4300カ所にコインパーキングを展開。運営車室数は5万車に上る。同社はカラオケ事業の営業で築き上げたネットワークで、拠点数を拡大。近年は年間400から500カ所のペースで新規オープンしている。特に繁華街でのパーキング運営の経験から狭小地・変形地の活用に強みを持つ。
第一興商(東京都港区)
営業統括本部 パーキング事業部
鹿島竜也部長
カラオケ事業のインフラ生かす
第一興商といえば、業務用通信カラオケサービス「DAM」やカラオケ店「ビッグエコー」などで有名な企業だが、実は1999年からパーキング事業を展開しており、同事業会社の中堅として成長している。
同社の最大の強みは、全国50拠点に及ぶ営業所だ。カラオケ事業で長年培ってきた営業ネットワークは、パーキング拠点数の拡大に寄与してきた。それというのも、これまでカラオケ機器導入の営業活動を通じて、繁華街のビル管理会社やテナント仲介会社といった不動産会社との間にパイプがあるからだ。
しかも同社はエンターテインメント企業であるため、不動産会社との競合にならず、オーナーの紹介を受けやすいのだという。
そして、パーキング事業会社としての同社の最大の特徴は、繁華街の狭小地や変形地での運営に強いことだ。

狭小地の提案に強み
「カラオケ事業の主戦場としてきた繁華街のパーキング開設では、狭小地や変形地が少なくありません。こうした土地は、ほかの土地活用が難しいケースも多く、長期間にわたって駐車場として運用できるメリットがあります。また、弊社はこうした土地での運用実績も多く、地主様への提案賃料も高くなる傾向にあります。活用が難しい土地でも高い収益性を実現する、提案ノウハウの蓄積が強みとなっています」と、同社の営業統括本部パーキング事業部の鹿島竜也部長は話す。

カラオケ事業でのネットワークがある繁華街にも多い
さらに同社は、30年近く前から繁華街を中心にコインパーキング事業を展開してきた経緯から膨大なデータも所有しており、それに基づいた適正な賃料査定が可能なことも強み。他社がデータ不足で敬遠したり、誤った判断をして収益を上げられなかったりするような土地でも、同社なら同様の条件下での実績を基に高収益を狙えるという。
価格設定調整力に強み
継続的な価格の調整力も同社が重視しているポイントの一つだ。料金を決めて終わりではなく、稼働状況を見ながら周辺調査や動線の見直しを1件1件丁寧に行う管理を徹底している。特に最大料金や短時間料金の設定については、徹底した調査に基づく調整を行っているのだ。「例えば、利用者の中には最大料金しか見ない人もいるのです。そういう人からすると、30分単位の料金よりも、24時間の料金を見てその差額で決めるので、場所によってコントロールするようにしています」(鹿島部長)

マンションの駐車場の一部でも運営
同社では1人の担当者が約80から100カ所程度を管理する。そのため、他社が管理の手間から避けがちな細かい料金改定まで実行することで、パーキングのポテンシャルを最大限に引き出し、オーナーの収益向上に貢献している。
トラブル発生時や緊急時の駆け付けも速い。地方の物件であっても、全国に50拠点もあることから5〜10分で駆け付けることができる。
拠点ごとの柔軟な現場対応も同社の特徴だ。例えば、地方都市で月極の駐車場代が安い場合、時間貸しではなく1日貸しで対応しているパーキング事業者がある。こうしたエリアでは、同社も時間貸しにこだわらず、そのエリアで貸しやすい1日貸しにすることで、他社に対して競争力を高めている。
第一興商では現在、時代の流れを見てキャッシュレス化を進めている。新規のパーキングはすべて「QRコード」決済を導入、場所によってクレジットカード決済にも対応している。導入率は56.8%を占める。ただ、コインパーキングの利用者の状況を見ると、完全キャッシュレス化まではまだ時間がかかりそうだ。
「エンドユーザーの使い勝手が重要です。キャッシュレス化は着実に進めていますが、まだ現金決済の人もいるため、併用できるように対応しています」(鹿島部長)
将来的には、清掃作業のロボット化、リアルタイム相場を反映するダイナミックプライシングの導入など、人の手を極力介さずに収益を最大化する仕組みを構築していく。着手はこれからだが「人手不足を見据えたテクノロジーによる自動化こそが、今後の競争優位性を左右する」という考えの下、進化を加速させる方針だ。
(2026年10月号掲載)






